身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

北海道ニセコ町・蘭越町 ニセコアンヌプリの麓

ニセコは札幌から60kmほど西側の地域で、私にとっては冬のリゾート地のイメージが強いです。そんなリゾート地に、今回は春、夏、秋と訪れる機会を得ました。

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春のニセコアンヌプリ。訪れた日では一番天気がよく、夏以降は天候不順が多かった。

ニセコの顔といえば、ニセコアンヌプリ
ニセコアンヌプリが属する山塊では最も高い山で標高1308mです。東や南側から眺めると、スキー場が目立ち、いかにもリゾート地の山ですが、西側や北側から眺めると本来のきれいな姿を目にすることができます。低い山ですが山頂にはハイマツの群落が成立し(濃い緑色)、大半はダケカンバ群落とチシマザサ群落です。

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春のイワオヌプリ。ニセコアンヌプリの隣の山。

ニセコアンヌプリの隣のイワオヌプリは活火山で、火山らしい山肌が特徴的です。こちらも大半はダケカンバ群落ですが、山頂の硫黄分の多い火山荒原周辺には特徴的な群落があるかもしれません。そんな風に想像した理由は、イワオヌプリの麓の五色温泉の周辺の植生を見たからです。

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五色温泉の火山荒原。温泉の露天風呂からもこの景観の一部が見ることができ、最高!

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イソツツジガンコウランを主体とした群落。背丈は低く、50cmくらい。

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イソツツジ。春から初夏に咲きます。6月中旬で咲き始めでした。

五色温泉周辺は標高800m程度ですが、荒地にハイマツ、ガンコウラン、イソツツジシラタマノキ等からなる高山植生に似た群落が成立していました。五色温泉周辺の植生が高山植生と全く同じかどうかまではわかりませんでしたが、硫黄分の多い火山荒原には変わった植生が成立するのでは?という想像がかきたてられました。

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ダケカンバ群落。標高700m以上ではダケカンバの純林が多い。

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ミズナラ群落。本州と異なりブナは無く、ダケカンバがかなり多くまじる。

ニセコアンヌプリの麓の森は、東北地方の冷温帯上部の森と雰囲気が似ています。まず北海道に特有のエゾマツ、トドマツといった針葉樹があまりありません。ダケカンバ、ミズナラシナノキ、アカイタヤ、ハリギリといった東北地方にも普通に見られる種が優占します。しかし、東北地方の森と決定的に異なるところがあります。それは、ブナがないことです。ニセコから30-40kmほど南西の黒松内周辺がブナの北限とされていて、ニセコとは距離的にはそれほど離れていないのですが、ここまでブナは進出できないようです。

ニセコアンヌプリの麓には温泉宿がたくさんあり、たいてい温泉宿の周辺には散策路(林道)があります。そんな散策路で見ることができる植物を紹介します。

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ミヤマスミレ。春に咲く小型のスミレで少し探すのが大変かも。冷涼な地域でよく見ます。

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タニウツギ。華やかに春をいろどる低木。個体数が多いので群生するとすごくきれい。

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オトギリソウ。夏によく咲きます。分類が難しく毎回悩まされます。かなり立派な個体ですが、多分オトギリソウでよいと思います。

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エゾクガイソウ。これはあまり見かけなかったので見られたらラッキーか。本州で見るクガイソウよりも、花、葉、全体、全てが大きい。夏に咲きます。

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オオバセンキュウ。大きなものは人の背丈ぐらいになる巨大な花。これも分類が難しい仲間で夏から秋に咲く。

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ミヤマアキノキリンソウ。ここで見た個体はミヤマアキノキリンソウアキノキリンソウか迷う個体が多かった。アキノキリンソウかもしれない。秋に咲きます。

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ゴマナ。北海道のものはエゾゴマナとして分けることもあるようですが、私は本州のものと違いはないと思っています。


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もうそろそろ、紅葉のよいシーズンかもしれません。今回、ニセコアンヌプリは天候や時間の関係で登らなかったので、今度は登ってみたいな~。