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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

2016の出会いベスト5-169.オゼソウ-

2016年の出会い第2位はオゼソウです。分布が限られる珍しい植物なのですが、わんさと群生していてびっくりしました!

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北海道幌延町にて(6月16日)。以下、撮影場所・撮影日同じです。

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どこかで見たことがあるような雰囲気の植物ですが、珍品です。

オゼソウの“オゼ”は尾瀬ヶ原にちなむようですが、今回は北海道の宗谷丘陵で偶然見ることができました。このオゼソウの群生地はテシオコザクラの群生地として有名?(知る人ぞ知るという感じだと思います)な場所のようです。私の友人が、時期的に遅いけどひょっとしたら12株くらいテシオコザクラが咲き残っているかもしれないと言い、案内してくれました。期待していたテシオコザクラはすっかり花が終わっていましたが、かわりに満開のオゼソウの群落に出会えたというわけです。友人は「残念だったねー」と言っていましたが、全然残念ではありませんでした。テシオコザクラに時期をあわせたら、きっとオゼソウの満開を見ることができなかっただろうし。これはこれでうれしい出会いでした。


オゼソウは最新の分類ではサクライソウ科オゼソウ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)です(以前はユリ科)。北海道(天塩地方)、本州(至仏山谷川岳)の蛇紋岩地帯のみに生育する日本固有植物(日本のみに生育する植物)です。湿地ではありませんが、湿潤な砂礫地に生育していました。

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写真ではわかりづらいですが30度くらいの斜面です。モウセンゴケやテシオコザクラと一緒に(若干住み分けている)生育していました。

ちなみに、最初(1931年)にこの地方で確認されたオゼソウはテシオソウとして新種発表されたようですが、後にオゼソウと同じものとされたようです。

オゼソウの特徴は次の4点です。なかなか見る機会もないし、生育地も限定的なので、生育地に赴いて花を見れば間違える植物はありません。
①:大きさと生え方:20cm前後で群生します。木陰に生育するものは大型になり、30cm近くになっていました。
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②:葉:葉は地面に接するようには生えず、カヤツリグサ科の植物のように地際から立ち上がります。中央の脈も比較的明瞭でセキショウのように扁平にはなりません。
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③花序:花には短い柄があり、試験管ブラシのような花序(総状花序(そうじょうかじょ:ほぼ等しい長さの短い柄のある多数の花を試験管ブラシのようにつけた花序))をつけます。
④花:花は小さく黄色っぽい白色。

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川沿いの道を歩いていきます。クマが出そうなので数人で出かけたほうがよいかも。

生育地までは30分以上歩きましたが、途中似たような環境があるものの、生育地はこの場所だけでした(さらに山の奥は行っていないが)。本当に不思議です。やはり蛇紋岩という特殊な土壌を好むのでしょうか。産地への道筋は目立たないですが、看板も設置されており、登山道も比較的歩きやすかったので、時々管理をされているようでした。これからも末永く見守っていっていただきたいものです。次はテシオコザクラの時期に行きたいな~。