2016の出会いベスト5-167.トダイアカバナ-
2016年のうれしかった出会い第4位はトダイアカバナです。
長野県大鹿村にて(8月31日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。
全体に細くて写真がとりづらいです。感動が表現できるような写真は撮れないです・・・。
以前、岐阜県博物館の標本庫のアカバナ科を調べた関係から、アカバナ科にはかなり愛着があります。そのため、かなり地味な植物ですが、私にピカッと輝く植物のように見えました。どんな植物でも愛情がわくと違うんですよねー。
トダイアカバナはアカバナ科アカバナ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)です。本州(関東以西)、四国、九州に分布しますが、産地は限定的で、石灰岩地や渓流沿いの礫地や岩場に生育します。私の住む岐阜県には分布がなく、岐阜県博物館の標本庫には他県(長野県だったかな)のトダイアカバナの標本がありました。一度、生きている植物を見てみたいと思っていたので、念願が1つかなった感じです。
「トダイ」という名前は産地の一つ、長野県戸台川にちなむようです。今回、私は戸台川に近い河川で見ることができました。産地は限られていますが、産地に行けば、かなりの個体数があるようでした。
トダイアカバナの特徴は次の4点です。
①:大きさ:茎は直立し、草丈は30cm前後になります。膝下の大きさです。
②:葉:葉は互生(ごせい:葉が交互に着く)し、線形から披針形(ひしんけい:かなり細長い卵型)、目立たない細かい鋸歯が多数(今回は7-12対ほどありました)あります。類似のアカバナとの識別ポイントになります。
③花:花弁は4枚、淡紅色から白色、直径5-6mm。アカバナの仲間はみな似たような花をつけます。柱頭(ちゅうとう:雌しべの先の部分)は太い棍棒状と平凡社の図鑑に書いてありましたが、私には球状に見えます。
④果実と種子:果実は細長い形状をしており、長さ3から4cm、幅は1mm程度です。種子には長い毛がついています。これはアカバナの仲間の共通の特徴です。
アカバナの仲間は似ている植物が多いですが、トダイアカバナの細い葉の形は特徴的で、似たものは少ないです。一番似ているのはヒメアカバナで、こちらは鋸歯が1-3対と少なく、全体も少し小型の点で異なります。ホソバアカバナも葉が細いという点で似ていますが、こちらは葉に鋸歯がない点で異なります。