これも難しいかな?-128.オオバタネツケバナ-&-24.タネツケバナ-
渓流沿いの水辺に生育する大型の個体。愛知県設楽町にて(5月8日)。
名前のとおり、全体大型になり、茎も太くがっしりした感じです。
オオバタネツケバナはアブラナ科タネツケバナ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州に分布します。水辺に生育しますが、タネツケバナのように水田の中に生えることは少ないです。似ているタネツケバナは越年草(えつねんそう:秋に発芽して冬越し、翌春に開花・結実して枯死する)なので、図鑑ではよくこの違いで両者を識別します。
ここで、オオバタネツケバナは多年草と言いましたが、これが結構くせものです。タンポポの根や、ワサビの茎のようなものがあれば、すぐに多年草とわかるのですが、オオバタネツケバナにはそれほど立派な根がついていません。1枚目の写真のような大きな株であれば、多年草だろうと推測できますが、小型の個体だとタネツケバナ・・・かな?という感じになります。
山間地の放棄水田に生育するやや小型の個体。愛知県設楽町にて(5月8日)。
そんなわけで、多年草と越年草の違いではない別な部分で、両者を比べてみましょう。
①花:花弁は4枚で白色、これは共通の特徴です。大きさ的には両者にそれほど違いはなく、花では区別できないようです。
②果実:果実はどちらも長角果(ちょうかくか:細長い円柱形の果実)です。色合いは異なりますが、果実のつきかたに違いはありません。色合いは生育環境によって多少変わるので、これで区別するのも難しそうです。
③葉の形:タネツケバナの仲間は奇数羽状複葉(きすううじょうふくよう:写真のような葉のことを指します)という形の葉をつけます。オオバタネツケバナは先端の小葉(しょうよう:複葉の葉で、1枚1枚の葉のように見える部分)が特に大きく、脇の小葉は小さく、数が少ないです。タネツケバナは先端の小葉が顕著に大きくならず、脇の小葉の数が多いです。ただ、このような葉の形は、上の葉と下の葉で形が異なるので、比較は下部の葉で行ったほうがよいかもしれません。両者の葉の形の違いは、多くの図鑑でも識別ポイントとして指摘されています。
④茎の毛:オオバタネツケバナは茎の下部が殆ど無毛です(上部も同じ)。タネツケバナの茎の下部は短毛が密生します(上部は毛が少なくなります)。これは大きな違いと個人的には思っていたのですが、どうも図鑑によって記載にばらつきがあるようです・・・。