身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

注意して見て!-127.ミチタネツケバナ-&-24.タネツケバナ-

身近な在来種にそっくりな外来種をもう1種紹介します。
まずは、在来種のタネツケバナです。

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春先の早い時期の大型株。こ時期は花も大きく目立ちます。岐阜県関市にて(3月26日)

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少し遅い時期の小型株。容姿を観察すにはこのくらいがベスト。岐阜県関市にて(4月5日)。

春先の水田ではお馴染みの植物ですが、個体差が大きく、見る時期によってもだいぶ雰囲気が異なります(タネツケバナの特徴はこちら)。

そして、こちらが“そっくりさん”の外来種、ミチタネツケバナです。

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わりと大型の株。タネツケバナに比べると花が目立たない。愛知県岡崎市にて(3月29日)。

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落ち葉が見えることから生育地が水田ではないことがわかる。愛知県岡崎市にて(3月29日)。

なんとなく、タネツケバナとは違うような印象を受けますが、タネツケバナの個体差が大きいだけに、よーく見ないと、タネツケバナの変わったヤツで終わってしまうことも・・・。
ミチタネツケバナ自体も、個体差が大きく、大株になるとタネツケバナとの識別が難しいですが、小型の株だとタネツケバナとだいぶ違います。
ミチタネツケバナアブラナ科タネツケバナ属の越年草(えつねんそう:秋に発芽して冬越し、翌春に開花・結実して枯死する)で、ヨーロッパ原産の外来種です。1970年代に鳥取県で初めて確認され、1990年代には各地で確認されるようになり、現在は北海道・本州・九州北部で確認され、今も分布を拡大させているようです。タネツケバナよりも乾いた場所に生育することができ、水田周辺だけでなく、路傍や林縁などにも生育します。このような逞しさも、分布を短期間で広げることができた一因かもしれませんね。

タネツケバナと比較しながらミチタネツケバナの特徴をみてみます。
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①花:花弁は4枚で白色、これは共通の特徴です。ミチタネツケバナは花びらが小さく目立たない感じですが、タネツケバナの花びらの大きさにも変化があるので、この特徴だと区別がつけづらいです。
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②果実:果実はどちらも長角果(ちょうかくか:細長い円柱形の果実)です。両者の違いは果実のつく角度です!ミチタネツケバナは果実が真直ぐに伸びるので茎と果実が平行気味になるのに対し、タネツケバナは茎に対して少し斜めに果実がつきます。慣れれば、これでも区別できますが、ちょっと見分けづらいかもしれません。
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③葉のつき方:ミチタネツケバナの葉は地面近くに多く、茎の葉は少ないです。特に小型の個体ではこの傾向が顕著です。春先のタネツケバナは地面近くに葉を多くつけますが、茎の葉も多いので、慣れれば葉のつき方で見分けられます。
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④茎の毛:これが一番の違いではないかと思います。ミチタネツケバナは茎が無毛で、葉は茎との接合部付近に長い毛が少しあります。タネツケバナは茎や葉の基部に短毛が密生します。遠目で見てどちらか迷ったら、この部分を見るとよいと思います。


タネツケバナ石器時代弥生時代のイネの伝来とともにやってきた「史前帰化植物とされていて、今では在来植物として扱われています。タネツケバナは「物流」という概念がない頃に日本にやってきて、2000年の歴史を経て今の市民権を得たわけですね。かたや、ミチタネツケバナは物流の往来が頻繁になった近年にやってきて、50年で日本全国にひろまりました。いつ日本にやってきたかによって、ここまで広がり方に違いが出るんですね~。あらためて、外国産の動植物の導入や栽培・飼育には注意しないといけませんね。