注意して見て!-125.ヤエムグラ-&-126.シラホシムグラ-
みなさんヤエムグラという植物はご存知でしょうか。春から夏にかけて藪でよく目にするトゲのある植物です。写真を見れば、「あーこれなら知っている」という人も多いと思います。
ヤエムグラはアカネ科ヤエムグラ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)、または越年草(えつねんそう:秋に発芽して冬越し、翌春に開花・結実して枯死する)で、日本全国の農耕地脇の草むらや藪などに生育します。こんなどこにでもある植物が、知らない間にそっくりな別な植物に置き換わっていたら、皆さんどう思いますか?例えるなら、ご近所の皆さんがいつの間にか人間の姿をしたエイリアンになっていたら・・・。B級ホラーなみの恐ろしさです。
これを見て皆さんはどう思いますか。多分、殆どの人がヤエムグラと思うでしょう。かくいう私もヤエムグラだと思っていました。実はこの植物はシラホシムグラという外来種です。外来種は英語にするとAlien Speciesで、まさにエイリアンです。
ヤエムグラとシラホシムグラは遠目にみるとそっくりですが、ちょっと気をつければ簡単に見分けることができます。この春、是非、注意して見てみて下さい。
ヤエムグラとシラホシムグラの特徴は次の4点です。
①葉のつき方と枚数:葉は輪生(りんせい:1箇所から車輪のように複数枚の葉がつきます)し、1箇所から6~10枚出ます。これは、ヤエムグラ、シラホシムグラとも共通の特徴です。
②果実:丸い果実が二つ並んでつきます。果実には先が鈎針のようになった毛が密生します。これは、ヤエムグラ、シラホシムグラ共通の特徴です。
③花:花弁は4枚です。ヤエムグラの花弁はクリーム色なのに対し、シラホシムグラの花弁は白色です。どちらも白っぽい色なので単独で見るとわかりづらいですが、並べて見るとだいぶ違います。しかし、この特徴は押し葉標本にするとわからなくなってしまいます。
④茎の刺と毛:ヤエムグラには下向きの刺があるものの、普通の毛はありません。一方、シラホシムグラは下向きの刺以外に、葉の付け根周辺に白色の毛が出ます。シラホシムグラの毛の量は個体や、見る場所によって異なるようですが、茎をていねいに見ると、葉の付け根周辺に間違いなく毛があります。これが、ヤエムグラとシラホシムグラを区別する一番のポイントだと思います。