身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

注意して見て!-125.ヤエムグラ-&-126.シラホシムグラ-

みなさんヤエムグラという植物はご存知でしょうか。春から夏にかけて藪でよく目にするトゲのある植物です。写真を見れば、「あーこれなら知っている」という人も多いと思います。

イメージ 1
ヤエムグラは草むらや藪で群生します。茨城県常総市にて(5月10日)。

イメージ 2
茎は華奢で、他の植物などによりかかって伸びます。茨城県常総市にて(5月10日)。

ヤエムグラはアカネ科ヤエムグラ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)、または越年草(えつねんそう:秋に発芽して冬越し、翌春に開花・結実して枯死する)で、日本全国の農耕地脇の草むらや藪などに生育します。こんなどこにでもある植物が、知らない間にそっくりな別な植物に置き換わっていたら、皆さんどう思いますか?例えるなら、ご近所の皆さんがいつの間にか人間の姿をしたエイリアンになっていたら・・・。B級ホラーなみの恐ろしさです。

イメージ 3
シラホシムグラ。ヤエムグラにそっくり。青森県八戸市にて(6月10日)。

イメージ 4
ヤエムグラ同様、他の植物によりかかって伸びます。青森県八戸市にて(6月10日)。

これを見て皆さんはどう思いますか。多分、殆どの人がヤエムグラと思うでしょう。かくいう私もヤエムグラだと思っていました。実はこの植物はシラホシムグラという外来種です。外来種は英語にするとAlien Speciesで、まさにエイリアンです。

ヤエムグラとシラホシムグラは遠目にみるとそっくりですが、ちょっと気をつければ簡単に見分けることができます。この春、是非、注意して見てみて下さい。
ヤエムグラとシラホシムグラの特徴は次の4点です。
イメージ 5
①葉のつき方と枚数:葉は輪生(りんせい:1箇所から車輪のように複数枚の葉がつきます)し、1箇所から610枚出ます。これは、ヤエムグラ、シラホシムグラとも共通の特徴です。
イメージ 6
②果実:丸い果実が二つ並んでつきます。果実には先が鈎針のようになった毛が密生します。これは、ヤエムグラ、シラホシムグラ共通の特徴です。
イメージ 7
③花:花弁は4枚です。ヤエムグラの花弁はクリーム色なのに対し、シラホシムグラの花弁は白色です。どちらも白っぽい色なので単独で見るとわかりづらいですが、並べて見るとだいぶ違います。しかし、この特徴は押し葉標本にするとわからなくなってしまいます。
イメージ 8
④茎の刺と毛:ヤエムグラには下向きの刺があるものの、普通の毛はありません。一方、シラホシムグラは下向きの刺以外に、葉の付け根周辺に白色の毛が出ます。シラホシムグラの毛の量は個体や、見る場所によって異なるようですが、茎をていねいに見ると、葉の付け根周辺に間違いなく毛があります。これが、ヤエムグラとシラホシムグラを区別する一番のポイントだと思います。


昨年出かけた、小貝川や馬淵川ではシラホシムグラのほうが多く、ヤエムグラはかなり少ない印象を受けました。シラホシムグラは最近認識された外来種のようなので、いつからこのような状態になったのかはわからないようです。私は、その他に多摩川相模川でも見たので、ひょっとしたらいろんなところに広がっているのかもしれません・・・。あなたの身近なところにもエイリアンがひそんでいるかもしれませんよ。キャ~