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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

北国で出会った植物-116.オニノヤガラ-

ランの仲間は、きれいな花をつけたり、変わった形の花をつけたりしますね。オニノヤガラも変わった形のランの一つといえます。

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北海道黒松内町にて(7月23日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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小さな花を多数つけます。普通の葉っぱらしいものはありません。

最初にこの植物を見た時は、「何だこりゃ~」という感じでした。結構、大きなランで高さは80cmぐらいになります。全体薄茶色や淡黄色で、ひょろーっと立ち上がります。決して目立つ色ではないのですが、緑色の濃い森の中では、背が高いだけに逆に目を引きます。全体褐色系で葉が無く、葉緑体もないので光合成はできません。いわゆる腐生植物というやつです。ただ、最近はこの腐生植物という名称はあまり使わず、菌従属栄養植物と言います。何やら難しい呼び名ですが、ようはキノコ等の菌類と共生していて、その菌類から栄養をもらって生きているということです。なるほど、自身で落ち葉を分解しているわけではないのですね。

オニノヤガラはラン科オニノヤガラ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)です。北海道・本州・四国・九州に分布し、樹林地に生育します。なんと、亜寒帯~暖温帯までに生育できるようで、極東ロシア、台湾なんかにも生育するみたいです。寒いところから暑いところまで、すごい適応力です。

オニノヤガラの特徴は次の3点です。パっと見で覚えられると思います。
①大きさ:膝丈から1mぐらいのサイズで、葉っぱらしいものはありません。
②色彩:薄い褐色から淡黄色。
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③花:花は茎に多数付き(図鑑では2050個)、ハゼの顔のような形で長さが1cm前後。


似たような植物には同じ仲間のナヨテンマ、シロテンマというのがあるみたいですが、私は見たことがありません。これらはオニノヤガラよりも花数が少ないみたいです。ゴマノハグサ科のヤセウツボは雰囲気が似ています。ヤセウツボは明るい草地でシロツメクサなんかが生えるよう場所に多いので、森の中にはえオニノヤガラとは環境が異なります。

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ヤセウツボ。人家周辺の似た植物はこれです。ただ、よく見ると花なんかもだいぶ違います。神奈川県平塚市にて(5月16日)。