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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

ちょっと不気味な容姿-335.ツチアケビ-

晩秋の山を歩いていたら、少しギョッとするような植物を見つけました😱。ツチアケビです。

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愛知県設楽町にて(11月19日)。果実の写真は撮影日・撮影場所同じです。

地中から突き出た茎に毒々しい赤い実がぶらさがっています。赤い実の大きさは大きなもので10cm程度。確かにアケビのような形ではあります。土からニョキッと出てきたアケビみたいな実から、ツチアケビという名称になったようです。私的にはアケビというよりタラコ唇を想像してしまいます。真っ赤なタラコ唇がたくさんぶらさがっているようで、毎回、不気味な容姿だな~と思います。

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時期的には少し遅く、落ちてしまった実も数個ありました。

ツチアケビは大きなものだと膝丈以上の大きさになり、実つきのよいものだと、晩秋の森の中でかなり目立ちます。実はアケビのように大きいですが、中には粉のような種子がつまっていて、多分パサパサして動物は食べないと思っていたのですが、なんと鳥が食べるとのことです!(「日本のラン ハンドブック①低地・低山編」 遊川知久他 文一総合出版それなら、目立たせる意味はありそうですね。でも、この大きな実を鳥はどうやって食べるのだろう?

1個丸呑み?サギやウのようなサイズの鳥じゃないと呑み込めなさそうですが、植物食の鳥で丸呑みできるやつがいるだろうか?それともつついて食べるのか。つついたら粉のような種子が舞い上がり、年をとったりして😁。

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宮城県七ヶ宿町にて(7月19日)。花の時期でも強烈な印象を与えます。

ツチアケビはラン科ツチアケビ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)です。花の時期でも緑色の葉は無く、菌従属栄養植物と呼ばれるタイプの植物で(以前は腐生植物と呼ばれていました)、菌類と共生関係(寄生関係?)を結び、菌類から栄養をもらっています。ツチアケビが共生する菌類はナラタケですが、ツチアケビとキノコとしてのナラタケが一緒に生えているところは、まだ見たことがありません。比較的広範囲に分布するランで、北海道南部~九州までの樹林下に生育します。多年草となっていますが、毎年同じ場所から生育するわけではないような気がします。

ツチアケビの特徴は次の3点です。まあ、見ればすぐにわかりますね。

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①全体容姿:膝丈程度の大きさで、緑色の葉はありません。

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②茎と花:褐色の太い茎が分枝し、淡褐色と黄色からなる花を多数つけます。個々の花は比較的大きく直径3cmくらい。

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③実:アケビやソーセージに似た真っ赤な実をつけます。大きいものでは10cmぐらいになります。

この特徴的な容姿から類似種はありません。