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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

北国で出会った植物-115.ミミコウモリ-

ミミコウモリです。“コウモリ”とつきますが、夜に飛ぶ哺乳類のコウモリではありません。でも、ミミコウモリなんて、夜飛ぶコウモリの仲間にもありそうな名前です。

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北海道稚内市にて(9月3日)。以下、撮影場所・撮影日同じです。

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ピンボケいまいちですが、白い小さな花を多数つけます。

ミミコウモリはキク科コウモリソウ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道と本州(東北地方)に分布し、樹林地や林縁に生育します。この仲間の名前の由来は、葉の形が、コウモリの羽を広げた姿に似ているからだと思います。

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のミミコウモリなんかは、ちょっと太目のコウモリが羽を広げた感じに似ている気がしませんか?個人的には、素晴らしいネーミングセンスだと思います。
それじゃ、ミミとは何ぞや?特に葉の形にはウサギの耳のような目立つものがないし…と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

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ミミの特徴は葉の付け根にあります!この写真のように葉の一部が茎を完全に取り囲み、フリルのようになっている時、植物屋さんは「葉柄が茎を抱く」と言います。このような葉の付き方の植物はいくつもありますが、ミミコウモリほど立派に茎を抱く植物は、そうたくさんあるわけではありません。この飛び出した目立つフリルを、ミミ(耳)と表現したのでしょう。ナイスです!

ミミコウモリの特徴は次の3点です。
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①葉:葉は互生、光沢のある緑色、コウモリが羽を広げたようないびつな5角形。葉の大きさは大きいものだと大人の手のひらより幅広になります。
②葉柄:葉柄(ようへいの基部は茎を顕著に抱きます。ただ、上部にいくと、抱き方が目立たなくなります。
③花:総苞片(そうほうへん:写真参照)5枚です。


コウモリソウの仲間は種類が多く、同定が難しいものが多いです。その中では、ミミコウモリはわかりやすい植物です。大きな「ミミ」と光沢のある濃い緑色の葉を確認すれば、まず間違いないと思います。ただ、秋に「ミミ」の上(正確には葉柄の付け根)に「ムカゴ」をつけるものがあり、それはコモチミミコウモリと言って別の変種になり、レッドデータブックに掲載されるような種です。違いは「ムカゴ」の有無だけなので、夏前だと両者の識別は難しいです。