身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

少なくなっているのかな?-318.キンラン-

里山の樹林を歩いていて、キラッと輝く花をみつけました。キンランです。

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三重県にて(5月12日)。以下、産地記載ないものは撮影日・撮影場所同じです。

キンランを見つけたのは偶然ではありますが、「ここはありそうだな~」と思って歩いていたので、見つけた時は「ヨッシャ!」と思わず口にでましたね(笑)。「俺の目に狂いはなかった」なんて言うとすごい目利きのようですが、実際はそうそう思うようにはみつかりません(笑)。「俺の目は節穴か…」となる時のほうが多いです。日々訓練です!

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長崎県にて(5月7日)。地域によってばらつくがGW明けが確認適期。

キンランはラン科キンラン属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州~九州までに分布します。山奥よりも里山のコナラやアラカシといったコナラ属の木々が優占する明るい樹林や、それらの樹林の林縁部に生育します。里山に多いことから金のように珍しく貴重なものという意味ではなく、花が鮮やかな黄色だからキンランという名前になったのでしょう。

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こんなにきれいに咲いていた個体群に出会ったのは久しぶり!うれしい~!

コナラやアラカシの二次林に多い植物ということで、花の時期であれば比較的よく見るランの仲間だと思います。学生時代や社会人最初の頃は関東地方周辺で調査することが多く、このころはよくキンランを目にしていたような気がします。多い時には1日に数回ぐらい見ていたような気がします。ところが関東地方での調査が少なくなった最近では、キンランを目にする機会が減りました。地域によって生育量の多少があるというなら問題ないですが、減少傾向にあるなら気がかりですネ。

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花の少ない樹林下では、小さな花でもすぐに目につきます。

樹林の中ではキンランの花はよく目立ちます。以前、うちの親も「これってラン?」と言って写真を見せに来たことがあります。その時、「裏山にすごくたくさん咲いていてきれいだったんだよね~。1株もらってくればよかった」と言っていました…(オイオイ…)。ランの仲間は花がきれいということもあって常に盗掘の危険と隣り合わせです。キンランも例外ではありません。ランの仲間は菌類との共生関係で生きていて、栽培の簡単なものから、ほぼ不可能(一般的な人では)なものまで様々で、キンランは栽培がかなり難しい部類です。庭や植木鉢に植えても、多分翌年には出てこないか、出てきても数年しか生きられないと思います。仕事柄キンランを移植したことがありますが、昔は殆どうまくいきませんでした(最近はいろいろ研究されています)。キンランは見つけても持ち帰らず、また見たくなったらその場所を再度訪れるのがよいと思います。

キンランの特徴は次の3点です。

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①茎と大きさ:茎は無毛で直立し、大きさは20-50cmぐらいです。

②葉:葉は茎に均等に数枚互生(ごせい:葉が交互に着く)し、少し茎を抱きます。葉には明瞭な太い脈が数本あり、細かい脈が多数平行に伸びます。葉の先端は尖りますが、長く伸びて尖ることはありません。

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③花:茎の先端に数個の花をつけ、花は鮮やかな黄色です。

花が咲いていれば間違う植物はありませんが、花の咲かない葉が3枚ぐらいの小型の個体の場合は同じ属のギンラン、クゲヌマランとの違いが難しいです。

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ギンラン。岩手県洋野町にて(6月5日)。花が咲いていれば間違えません(笑)。

というか、単独1本で小型の個体を見つけた場合や、花の終わった時期では、正直わからないこともありますね…。