秋といえばタデの仲間-213.タニソバ-
タデの仲間は形の似ているものが多いですが、その中でもタニソバは類似種が無く、覚えやすい植物です。
名前が示すように、河畔や谷沿いの湿った環境で多く見かけます。名前の由来は谷に生えるソバに似た植物ということだと思います。
タニソバはタデ科イヌタデ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)で、北海道から九州に分布します。谷沿いの湿った草地、林縁、河畔等に生育します。それほど深い山に行かなくても見ることができると思います。
タニソバの特徴は次の4点です。葉の形だけで同定できます。
①個体サイズと茎:膝丈以下で、茎にトゲはありません。
②葉:茎の中部の葉は細長い矢印のような形をしており、葉柄(ようへい:葉の柄の部分)には翼(よく:柄の部分まで伸びる葉の一部分)があります。茎の上部の葉は殆ど柄がなくなり、三角形状になります。
③托葉鞘(たくようしょう):葉の付け根にある筒状のものが托葉鞘と呼ばれるものです(写真参照)。この部分を確認する必要はないですが、これがあることからもイヌタデ属ということがわかります。
④花は茎の先端や葉腋に集まってつきます。花序はイヌタデの仲間のように長く伸びず、頭状花序(とうじょうかじょ:多数の柄のない花を球状につけた花の集まり)をつけます。
イヌタデ属の仲間は秋になると赤く紅葉するものがあります。こんなにきれいに紅葉しているタニソバに出会えました