北国で出会った植物-109.ツルフジバカマ-
“フジバカマ”と名前がつきますが、秋の七草のフジバカマと全く似ていないのが、このツルフジバカマです。
どうして、このような名前になったのかは、よくわかりませんが、日本の野生植物(平凡社)によると“ツルフジ”とはつる草を意味し、“はかま”は葉の付け根にある托葉を表すと書いてありました。区切る位置が違うんですね。知りませんでした。昔の人は風流と言うか、直接的な名前をつけることはしなかったんですね。面白いです。
つるが四方八方に伸び、こんな感じで群生します。
容姿がよくわからないので、先っぽを少ししっけいしました。マメって感じです。
ツルフジバカマは以前に紹介した、クサフジの仲間です。羽状複葉(うじょうふくよう)のつる性の草本で、紫色の花を多数つける点で、その仲間であることがわかります。クサフジの仲間の中では花数が多く、花も少し大きめなので、他より見栄えがよい気がします。
ツルフジバカマはマメ科クサフジ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州に分布します。分布は広いのですが、あまり暖かい地方で見た記憶はなく、私の住む岐阜県美濃地方でも、それほど多くないようです。明るい草地に生育します。
ツルフジバカマの特徴は、類似種との識別点になる葉を中心に紹介します。
①小葉の形と枚数:小葉(しょうよう:複葉の葉で、1枚1枚の葉のように見える部分)の枚数は10~16枚で、楕円形です。
②葉の毛:裏面に毛はありますが、密生というほどではありません。
③葉脈の角度:主脈に対して狭い角度で側脈が出ます。
④托葉:托葉(たくよう:葉の付け根にある小さな葉状の付属片)は袴に例えられるぐらいなので、この仲間の中では大きく、目立ちます。