北国で出会った植物-105.エゾワサビ-
沢筋に群生していたエゾワサビです。ワサビと名前につきますが、水田なんかに生育するタネツケバナに近い植物です。
花が終わりの時期のため花数少なく、やや間延びしている。北海道稚内市にて(7月18日)。
花をつけていない個体。こんな感じの株が点々と群生します。北海道稚内市(7月18日)。
沢筋に群生する様子は、ワサビを想像させますが、葉の形や全体の雰囲気はタネツケバナを巨大化させた感じです。なぜワサビという名称になったかはわかりませんが、この仲間はワサビほどではないものの、茎や葉にピリッとした辛味があるものがあります。ワサビと名前につくぐらいなので、ひょっとしたら辛味があるのかもしれません。今回は、辛味を確認してこなかったので、今度出会った時はかじってみようと思います。
エゾワサビはアブラナ科タネツケバナ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~本州北部に分布します。山地の谷沿いの湿地、渓流水辺に生育します。多くの図鑑ではアイヌワサビという名称の植物と同一とされています。エゾワサビとアイヌワサビを別の植物として扱っている図鑑には、「北海道植物図譜」(滝田謙譲.2001.カトウ書館)があります。この本によると、アイヌワサビの葉はクレソンに似た感じとあり、私もこの本にあるような植物を1、2度見たことがあります。
確かに、葉の形はエゾワサビと雰囲気が異なり、クレソンに似た形になっています。私も、エゾワサビとアイヌワサビは違うもののように見えました。皆さんはどう思われますか?今回は写真がいまいちなので、今度、アイヌワサビに似た植物があったら激写してきて、比較したいと思います。
エゾワサビの特徴は次の3点です。
①生え方:茎は基部で分枝し、花の後は地表を這う太い茎を伸ばします(上写真)。
②葉:奇数羽状複葉(きすううじょうふくよう:写真のような葉)か、一枚の葉からなります。奇数羽状複葉の場合、一番上の小葉が丸っこくて大きく、大き目の小葉はせいぜい3個です。
③花:アブラナ科なので、ダイコンに似た小さな花をつけます。花びらは4枚、白色で大きく7-10mmです。