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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

畑の雑草-96.カヤツリグサ-

“カヤツリグサ科”の名前のもととなっているのが、このカヤツリグサです。

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東京都日野市にて(7月8日)。

カヤツリグサ科の植物は国内で500種程度あるとされ、亜種や変種など細かく分けるとさらに種数が増えます。1科あたりの種数としては、日本でも指折りのマンモスグループです。そんな“カヤツリグサ科”を代表する植物なので、是非とも覚えておきたい植物です。
カヤツリグサはカヤツリグサ科カヤツリグサ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)で、本州~琉球に分布しています。耕作地や河川敷の湿った草地に生育し、少し湿潤な環境を好みます。カヤツリグサを覚えるには、まずカヤツリグサ属の特徴をおさえる必要があります。カヤツリグサ属は比較的簡単に見分けることが出来ます。

カヤツリグサ属の特徴は次の5点です。
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①茎:三角形です。これはカヤツリグサ科の特徴といってもよいです。
②苞葉:茎の先に1箇所から複数枚の葉のような苞葉(ほうよう:小穂や花序の下に付く葉)が着きます。この苞葉の上に花序がつきます。
③花序:茎の先の1箇所から多数の枝を出し、それぞれに花序(かじょ:小穂や花の集合)をつけます。花序は多数の花が集まった小穂(しょうすい)を多数つけます。時に花序の枝がなくて人の頭のように小穂を密生させるものもあります。
④花:花は交互につきます。
⑤花の時期:夏~秋に開花するものが多いです。
このような特徴を確認すれば、カヤツリグサの仲間とすぐわかります。慣れれば手に取らずにカヤツリグサの仲間とわかるようになります。

それでは、本題のカヤツリグサの特徴です。
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①サイズと生え方2050cm程度。膝丈より小さいのが殆どです。カヤツリグサ属の中では中型です。控えめな株となります。一年草なので引き抜くのも簡単です。
②生えている場所の水分:やや渇き気味から湿った場所。水が常にあるような場所には生えません。
③花序の枝:花序の軸は長いものと短いものが混生します。ただ、長くても10cm以下です。花序の軸は上部でさらに分枝します。
④小穂・花:小穂(しょうすい:写真参照)は全体黄緑色から黄褐色。花を包む鱗片(りんぺん:写真参照)の先は少しとがります(この形がコゴメガヤツリ、チャガヤツリとの違いになります)。類似種との識別点になるので、この形は覚えておくとよいです。

似種には、コゴメガヤツリ、チャガヤツリがあげられます。コゴメガヤツリは鱗片の先がとがらず、色は黄緑色。チャガヤツリは鱗片の先が反り返ってとがり、茶色も濃くなります。
なかなかマニアックな植物ですが、違いがわかりだすと結構ハマります。入門書としては「カヤツリグサ科入門図鑑」(谷城勝弘著、全国農村教育協会)、「カヤツリグサ科ハンドブック」(勝山輝男・北川淑子著、文一総合出版が比較的お手ごろだと思います。