平地の秋の花-91.ユウガギク-
ユウガギクはいかにも野菊らしい菊です。花弁のような舌状花(ぜつじょうか)は、白または薄い紫色を帯びることが多いです。
花付きがよく、群生することも多いので、野原に咲いていると存在感があります。
ところで、ユウガギクの「ユウガ」は「優雅」を意味しているのでしょうか?ユウガギクは上方で多数分枝して花付きがよいです。そのため頭が重いのか、1本でビシッと立っている印象はありません。なんとなくお互いや、他の植物によりかかっている感じがします。花もなんとなく間延びして着きます。私的にはそれほど「優雅」とは感じませんが、きれいであることは間違いないです。
ユウガギクはキク科シオン属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州(近畿以東)に分布します。
野菊の仲間は同定が難しく、いつも現場ではサンプルを持ち帰ります(私が苦手なだけかも)。特に日本の野生植物(平凡社)でユウガギクを含むヨメナ属とされているヨメナの仲間は、種の差異が結構微妙だと思います。ここで紹介する特徴は典型的なものと考えてもらえればよいと思います。
ユウガギクの特徴は次の3点です。
①葉:全体細身で鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)の切れ込みは深いです。ただ、上部の葉になると鋸歯の切れ込みはそれほど深くなりません。また、切れ込み具合は個体差もあります。
②花:舌状花(ぜつじょうか:花弁のように見える花)の色は白っぽいことが多いです。ただ、紫がやや濃くなることもあるので、花の色だけでは識別できません。
③種子:種子の冠毛(かんもう:種子の頭の部分の毛)は短く、0.5mm未満。種子は平べったく、面の部分には腺点(せんてん:円形の光沢のあるイボ状の点)がありますが、稜の部分は腺点がなく毛のみがはえます。