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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

平地の秋の花-90.キクイモ-

キクイモというと栽培植物をイメージする方も多いと思います。地下のイモを味噌漬けなどにすると意外とおいしいので、食べたことがある方も多いと思います。

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東京都八王子市にて(10月18日)

もともとは栽培植物として導入されたようですが、今では中下流域の河川敷によく逸出・帰化しています。キクイモは北米原産の外来種で、キク科ヒマワリ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)です。既に日本全土に分布しています。
ところで、図鑑によれば、キクイモと類似した植物にイヌキクイモというのがあります。図鑑を参考に両種の違いを見たところ、両者は次のように区別されています。
キクイモ:花は初夏に咲き、舌状花は10-20個で先端は3裂。地下のイモは大きく凹凸がはげしい。
イヌキクイモ:花は夏の終わりから秋に咲き、舌状花は8-15個で先端は裂けない。地下のイモは小さく紡錘状。
神奈川県植物誌2001(神奈川県植物誌調査会.2001)より抜粋引用

図鑑によっては、この2種を別種(日本帰化植物写真図鑑等)としたり、種内の変異(神奈川県植物誌2001として扱ったりしていて、分類が混乱しています。分類が混乱しているので、私も混乱していて、最近は広義のキクイモという形で、あまり深くつっこまないようにしていました。

今回、偶然にも親戚が購入した購入起源のキクイモと、河川に帰化しているキクイモを見ることができたので、比較してみました。
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花は購入起源のものも、河川のものも
9月末で咲いていました。一年を通して観察したわけではありませんが、両者とも花の時期はあまり変わらないようです。
舌状花の数は購入起源が8枚、河川が9~13枚。多くの個体を数えたわけではありませんが10枚前後というところでしょうか。検索表の段階で舌状花の数が重なっていますが、どちらかというと両種ともイヌキクイモに近いようです。
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地下のイモはどちらも小さい紡錘状です。でも、親戚のおばさんが、「ありゃ、小さいね」と言っていたので、時期が悪かった可能性もあります。河川でもだいぶ引き抜いてみましたが、中にはイモすらついていないものもあり、
9月下旬ではイモが形成されていない可能性があります。ただ、イモの付き方はいずれもイヌキクイモに似ており、両種に違いがないように見えました。
今回の観察から、購入起源のものも、河川のものもイヌキクイモと呼ばれるタイプであるといえます。そして、イヌキクイモのタイプのものを“キクイモ”と称して売っているということがわかりました。これより、“キクイモ”と呼ばれる一部は、イヌキクイモのタイプであることが推測できます。検索表に示されたようにイモの大きな品種もあるのかもしれませんが、別種とするほどでもないのかな~と思いました。
そんな訳で、今回はキクイモとイヌキクイモをまとめて、キクイモとして特徴を示します。

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東京都八王子市にて(10月18日)。これで1.5~1.8m程です。

①サイズと生え方:2m前後にまで成長し、群生します。
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②葉:互生します。柄があり、
三行脈(さんこうみゃく:縦に伸びる脈が3本目立つような葉脈)、鋸歯があります。
③花:花は黄色で直径は10cm前後。筒状花(つつじょうか)の部分は目立たず、舌状花(ぜつじょうか)の部分が目立ちます。中央部が小さい小型のヒマワリのような感じです。

かなり目立つ外来種なので、河原で見かけたら「みんな食べちゃえ!」と言いたいところですが、イヌリンという物質がイモに多く含まれるため、食べ過ぎるとあまりよくないようです。大量のイモを収穫するにも時期が悪いと難しいかもしれません。