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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

秋らしくなってきたかな-329.ゴマナ-

先週までは熱中症になるくらい暑かったですが、最近は日中耐えられる暑さになってきました。この日は少し標高の高い場所に行ったため、下界よりも秋らしい雰囲気になっており、ゴマナが満開の時期を迎えていました。

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岐阜県高山市にて(9月2日)。以下、産地記載ないものは撮影場所・撮影日同じです。白い花が皆ゴマナです。

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写真から大きさは伝わりませんが、これで1.3mぐらいの個体です。

ゴマナは野菊の仲間で、腰丈よりも大きくなる植物です。花をたくさんつけますが、花の大きさはノコンギクやシロヨメナよりもひとまわり小さいです。一言で言えば、小さな花をたくさんつける大きな菊…。

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これは比較的咲き始めで、花の数が少ない。全部開けばもっと花だらけになる。

なかなかこのような菊は上手に撮影できませんね。たくさん花をつけるということは、それだけ開花している期間が長くなり、花序に咲き始めのものから終わりかけのものまであり、きれいな花だけをたくさんつけている状態を探すのが大変です。また、近づいて撮影すると全体の雰囲気が伝わらず、離れて撮影すると花の形がよくわからないといった感じになります…。図鑑のようなきれいな写真を撮影するのは本当に難しいですね。

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ちょっと画質が悪いけどこれは見事!富山県南砺市にて(9月28日)。

ゴマナはキク科シオン属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道・本州の山地に分布します。草原や明るい林縁に生育することが多く、群生することもあるので、比較的よく目にする植物だと思います。名前の由来は葉がゴマの葉に似ているからという話もありますが、ゴマ(ゴマ科)は科が違うので、葉の形はゴマナとゴマは似ていないと思います。ゴマナの葉はゴマの香りもしないので、名前の由来はよくわからないというのが正しいような気がします。

ゴマナの特徴は次の3点です。

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①茎:標準的なものは1-1.5mぐらいで、野菊の仲間では大型です。茎には短毛があります。

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②葉:葉は互生(ごせい:交互に葉がつく)します。葉の形はひし形に近い長楕円形で、先端、基部ともにとがり気味で、明瞭な鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)があります。側脈は羽状で、表面、裏面共に短毛があります。ノコンギクやシロヨメナに比べると葉が大きく、側脈の入り方が少し異なります。

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③花:花びらのように見える舌状花は白色で、中央の筒状花は黄色です。花の直径は1cm前後です。

類似種としては舌状花が白いシロヨメナがあげられます。シロヨメナは変異が大きく、中には非常に葉の幅が広くなるものもあり(タマバシロヨメナ等)、そのようなものはゴマナに似てきます。ただ、葉の形や葉脈の入り方が、シロヨメナ類とゴマナは異なるので、慣れれば間違うことはないと思います。

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北海道ニセコ町にて(9月13日)。北海道にも小型の個体はあるし、大きさで分けるには無理がありますね。見た感じも全く違いは無いと思います。

古い図鑑では北海道のものは大型で多毛ということでエゾゴマナという変種に分けていますが、本州にも大型のものはあり、毛の量は連続的で区別できないと思います。なので、私は「日本の野菊」(いがりまさし著.山と渓谷社の見解に賛成で、ゴマナとエゾゴマナは区別していません。