身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

河川堤防の植物-162.スズメノヒエ-

稲穂が黄金色に色づいてきましたね。既に稲刈りが済んでいるところもありますが、うちの近所はこれからです。秋に実るのは稲だけでなく、多くのイネ科植物も実りの秋を迎えています。河川堤防に生育するスズメノヒエも実りの時期を迎えていました。

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青森県弘前市にて(9月15日)。以下、撮影日・撮影場所同じ。

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スズメノヒエは地下茎ではなく、個々の株が群生。写真にするとよくわかりませんネ。

字で書くと「雀の稗」となります。観察したわけではないですが、雀がこの実を食べているところは、これまで見たことがないです。稲にはあんなに群がるので、あまりおいしくないのかもしれません(そりゃ、そうですね)。また、「稗」と名前に付きますが、ヒエとは全く別の仲間です。

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ヒエと同じ仲間のイヌビエ。スズメノヒエとは似ていません。東京都八王子市(10月18日)

ヒエは水田雑草の一つであるイヌビエの仲間で、スズメノヒエとは全く異なります。どうしてこういう名前になったのかは少々謎です。

スズメノヒエはイネ科スズエノヒエ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州~琉球に分布します。河川堤防などの草地に生育しますが、やや湿った環境を好むようで、堤防ならばのり尻付近や平坦部分に多く、水田の畔などにも多い印象を受けます。

スズメノヒエの特徴は次の4点です。
①:生え方:株状にはえ、茎はやや斜めに立ち上がり、膝丈程度。
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②:葉と茎:葉と茎の葉鞘(ようしょう:葉の付け根から下側の茎を鞘状に巻いている部分)に肉眼で見える長い毛が密生します。
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③花序:花序の形が特徴的なので、是非形を覚えて下さい。総(そう:写真参照)が交互に25個つきます。
④花:個々の花は円形で、総に多数つきます。花は無毛です。

珍しい植物ではないですが、関東地方以西の河川堤防では少なくなっているような気がします。堤防工事などによる影響かもしれません・・・。かわりに新しい堤防ではスズメノヒエに似た外来種のシマスズメノヒエ、タチスズメノヒエが増えてきている気がします。近年の洪水被害等を考慮すれば堤防工事も必要ですが、在来種が外来種へと置き換わってしまうのは、なんともやりきれない感じです。レッドデータブックに掲載されている植物だけに配慮するのではなく、身近な在来種にもやさしい工事ができればいいなーとは思うのですが・・・。