河川堤防の植物-162.スズメノヒエ-
稲穂が黄金色に色づいてきましたね。既に稲刈りが済んでいるところもありますが、うちの近所はこれからです。秋に実るのは稲だけでなく、多くのイネ科植物も実りの秋を迎えています。河川堤防に生育するスズメノヒエも実りの時期を迎えていました。
スズメノヒエは地下茎ではなく、個々の株が群生。写真にするとよくわかりませんネ。
漢字で書くと「雀の稗」となります。観察したわけではないですが、雀がこの実を食べているところは、これまで見たことがないです。稲にはあんなに群がるので、あまりおいしくないのかもしれません(そりゃ、そうですね)。また、「稗」と名前に付きますが、ヒエとは全く別の仲間です。
ヒエと同じ仲間のイヌビエ。スズメノヒエとは似ていません。東京都八王子市(10月18日)
ヒエは水田雑草の一つであるイヌビエの仲間で、スズメノヒエとは全く異なります。どうしてこういう名前になったのかは少々謎です。
スズメノヒエはイネ科スズエノヒエ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州~琉球に分布します。河川堤防などの草地に生育しますが、やや湿った環境を好むようで、堤防ならばのり尻付近や平坦部分に多く、水田の畔などにも多い印象を受けます。
スズメノヒエの特徴は次の4点です。
①:生え方:株状にはえ、茎はやや斜めに立ち上がり、膝丈程度。
②:葉と茎:葉と茎の葉鞘(ようしょう:葉の付け根から下側の茎を鞘状に巻いている部分)に肉眼で見える長い毛が密生します。
③花序:花序の形が特徴的なので、是非形を覚えて下さい。総(そう:写真参照)が交互に2~5個つきます。
④花:個々の花は円形で、総に多数つきます。花は無毛です。