平地の秋の花-86.オグルマ-
秋がだいぶ深まってきました。晩秋の花というと、私はキク科の植物をイメージします。そこでキク科の植物を紹介していきたいと思います。まずはオグルマです。
オグルマはキク科オグルマ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州に分布します。オグルマは水田脇の草地や、湿地周辺の草地に生育します。少し湿った環境を好みますが、湿地の植物ではないので、常時ビチャビチャしたようなところには生育しません。チガヤやススキ等と生育するので、草地の植物といえると思います。
オグルマはどこにでも生育する植物ではないですが、珍しいというほどの植物でもありません。ですから、私はオグルマが生育しているような環境はわりとよい草地と感じています。
オグルマの特徴は次の4点です。花が咲けばわかりやすい植物ですが、葉だけだと同定するのは難しいです。
①葉:葉は互生し、楕円形~長楕円形で細かい鋸歯(きょし)があります。葉は柄がなく、葉の基部が少し茎を抱きます。
②茎:紫色を帯びることが多いと思います。若い茎は短毛を密生します。
③花:直径3cm前後の黄色の花をつけます。イメージ的にはヒマワリの花を小さくした感じでしょうか。
④種子:種子には短毛がはえます。類似種のカセンソウは毛がありません。
オグルマの仲間はそれほど種類は多くないですが、紛らわしい種類があるので注意が必要です。オグルマはカセンソウと間違われることが多いですが、種子を確認すれば間違えることはありません。
類似種のカセンソウ。そっくりです。北海道稚内市にて(9月3日)。
ホソバオグルマという珍しい植物がありますが、典型的な個体であれば、葉が細く、花が小さいことでオグルマと区別できます。ただ、オグルマの葉の細めの個体なんかがあると、ちょっと迷います。また、オグルマとホソバオグルマとの雑種のサクラオグルマというのもあるようで、こんなのが出てくるとかなり混乱します・・・。葉の細めのオグルマがあった時は注意して下さいといった感じです。