平地の夏の花-68.ヤブカンゾウ-
神奈川県平塚市(6月29日)にて。以下全て同じです。
「ヤブ」とつくだけに、林縁や路傍脇の草地など、人里近くに生育しています。鮮やかなオレンジ色の大きな花をつけるので、開花時期にはとても目につきます。春先には若芽をおひたしで食べたりします。
ニッコウキスゲほど洗練されていませんが、集まって咲くと見ごたえあります。
ヤブカンゾウはユリ科(新分類体系ではススキノキ科)ワスレグサ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州に分布します。高原の植物で有名なニッコウキスゲと同じ仲間です。古くに中国から渡来した植物とされています。特徴にも示しますが、雌しべがないため、基本的には種子ができません。それなのに日本全国に分布しています!?不思議ですね。このあたりの不自然さが古くに渡来した植物と判断される所以なのでしょう。
ヤブカンゾウの特徴は次の2点です。
①1葉:地際に多数の細長い葉をつけます。花茎(花のつく茎)には葉をつけません。
②花:八重咲きで雌しべは基本的にはありません。雄しべや花弁の数はまちまちです。
花が咲けば、まず間違う植物はありません。逆に花のつかない葉だけの状態だと、類似種との識別は不可能です。ただ、路傍等の人里近くであれば、多分ヤブカンゾウだろうなーとは推測できます。