シソ科植物は花がきれい!-98.キランソウ-
園芸植物に比べると地味な花が多い野生植物。その中でもシソ科の植物はわりと目立つ花をつけます。春先の水田まわりに彩をあたえるのが、このキランソウです。
岐阜県関市にて(4月12日)。以下、撮影場所・撮影日同じです。
あまり立ち上がらず、地べたにはりつくようにして花を咲かせます。このような様子を例えたのか、「地獄のかまのふた」なんていう別名もあるようです。なぜ、地獄なのか、よくわかりませんが・・・。
花弁は人のような形に見えませんか?
個々の花は比較的大きく、花つきのよい個体に出会うと、「君は園芸種かい?」と思わず口に出ます。また、花の形も斬新で、人の形をしています。思わず連れて帰りたくもなりますが、私の住むあたりにはたくさんある植物なので、わざわざそんなことはしません。野の花は、野原で見るのがベストです。
キランソウはシソ科キランソウ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州~九州に分布します。耕作地周辺の路傍や草地に生育しますが、落葉広葉樹林などでも見ることがあります。樹林内で見る個体は、ここの写真で示したような個体とはだいぶ見た目が異なり、花つきも悪くなり、別な種類のようにも見えます。機会があったら紹介したいと思います。
キランソウの特徴は次の3点です。
①葉:茎の一番下には大きな普通の葉をつけます。葉はへら型で、おおぶりの鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)があります。この仲間は皆鋸歯があるので、鋸歯の有無では種の判別はできません。でも、種ごとに葉の雰囲気が異なるので(これが説明できないんですよね)、葉の雰囲気は覚えておくとよいと思います。
②茎:茎は横に這うように伸び、直立しても10cm以下が多いです。また、横に這う茎も、細いつるのようなものではなく、普通の太い茎が短く横に伸びたような感じです。ですから、横に這うといっても、個体は大きくても20-30cm程度の広がりで、マット状に一面を覆ってしまうようなことはありません。
③花・花序:直立するような花序(かじょ:花の集合)は無く、花は葉の腋に付きます。上の部分では花序のようになりますが、せいぜい数cmの長さです。花弁(かべん:花びら)は人のような形をして、約1cm、濃い紫色です。