初夏と言えばスゲでしょ!-56.マスクサ-
小さな小穂が密集するタイプのスゲを紹介します。マスクサです。
神奈川県(5月20日)にて
このタイプのスゲ類の中では、マスクサは関東地方以西の低地で最も普通と思われます。植木にくっついて来たらしく、自宅の庭にもよく生えてきます。成長すると大きな株になり、抜くのに苦労します。雑草的な生命力の強いスゲです。
マスクサはマスクサ節の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州~九州に分布します。低地の明るい樹林、草地、路傍などに生育します。
地下茎を出さないので、こんな感じに大株になります。鹿児島県(4月27日)にて。
マスクサの特徴は次の4点です。用語は導入編を参照して下さい。
①生え方:地下茎は出さないので株になります。
②大きさ:30~50cmくらいです。
③苞葉:苞葉(ほうよう:小穂の下に付く葉)は葉のような形状で、小穂よりも明らかに長いです(上部に行くほど短くなる)。
④果胞(かほう):柱頭は3分岐(このタイプのスゲ類は2分岐が多いので、少数派)。果胞は幅広で平べったい。
マサクサ節のスゲはマスクサ1種のみしかないので、見慣れれば似ているスゲはありません。私が学生の頃は、ヤブスゲとの違いを覚えるのに苦労しました。私のフィールドは当時、神奈川や東京の低地で、ヤブスゲも似たような環境にはえていました(ヤブスゲの方が少ないですが)。覚えが悪く、よく採ってきては調べたものです。ヤブスゲは柱頭が2岐で、果胞も細長いので並べればすぐにわかると思います。