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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

河川堤防の植物-137.アオスゲ-

仕事柄、よく河川敷の堤防を歩きます。河川敷の堤防なんて、たいした植物は生えていないと思われがちですが、意外といろんな植物が生えているものです。地域や堤防によっても異なりますが、2kmほどの区間1年間通して観察すれば、50100種程度の植物が観察できると思います。河川堤防は定期的に草刈が実施されており、草地の植物を観察するには手頃でよい場所だと思います。そんな河川堤防でよく見られる植物を紹介したいと思います。
まずは、この前の記事の続きも兼ねて、アオスゲです。

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神奈川県茅ヶ崎市にて(5月20日)。相模川の堤防で撮影。

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岐阜県関市にて(4月30日)。水田の畔斜面で撮影。

オスゲはカヤツリグサ科スゲ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州の草地に生育します。日本で最も普通のスゲ類の一つなので、堤防を散歩がてら観察してみて下さい。アオスゲの仲間までの見極めは、ココを参照していただき、類似種との違いを中心に見てみます。
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①生え方:根元に雌小穂は無く、横に伸びる地下茎も無い。
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②苞葉:苞葉(ほうよう:小穂の下に付く葉)は明瞭で、鞘の部分の長さはたいてい5mm以下。
③雄小穂:雄小穂(ゆうしょうすい:雄花の集まった花序)は棍棒状(鬼が持つ棍棒のような形)で目立つ。
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④雌鱗片と果胞:雌鱗片(めすりんぺん:果胞に付属するうろこ状の葉のようなもの)には短い芒(のぎ:針状に伸びた突起)があります。果胞(かほう:果実と同じ意味)はルーペで見ると短毛がはえています。


アオスゲに似た仲間はたくさんありますが、河川堤防に生える仲間としては、北日本ではイトアオスゲ、西日本ではノゲヌカスゲ、あとシバスゲなんかがあげられるでしょうか。イトアオスゲは雄小穂が細く、雌鱗片の芒がとても短い点が異なります。ノゲヌカスゲは雄小穂が細く、果胞に殆ど毛が無い点が異なります。シバスゲは横に這う長い地下茎がある点が異なります。