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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

初夏と言えばスゲでしょ!-57.ヤブスゲ-

本稿の前に紹介したマスクサに似ているヤブスゲです。

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山梨県(6月25日)にて
 
遠目に見た雰囲気はマスクサに似ていますが、穂や葉の幅はマスクサよりも細く、全体的にマスクサを華奢にしたような感じです。ヤブスゲという名前から推察できるように、低地の明るい樹林内や草地等にはえます。生育環境はマスクサと似ていますが、マスクサより生育量が少なく、見つけるのは少し難しいと思われます。
ヤブスゲはヤブスゲ節の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州、四国に分布します。ただ、本州の中でも分布にむらがあるようで、私の住む岐阜県では殆ど見ません。

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地下茎はなく株状に生えます。マスクサよりも華奢。山梨県(6月25日)にて。
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ヤブスゲの特徴は次の4点です。用語は導入編を参照して下さい。
①生え方:地下茎は出さないので株になります。
②大きさ:3050cmくらいです。
③苞葉:苞葉(ほうよう:小穂の下に付く葉)は葉のような形状で、小穂よりも明らかに長いです。ただし、このような苞葉は下部の24個くらいの小穂に付くものだけで、上部の小穂苞葉は目立たず、苞葉が無いような感じになります。
④果胞(かほう):柱頭2分岐。果胞は細長いです。
 
写真に示したように、穂を並べてみるとマスクサとはあまり似ていません。似ているスゲとしては、同じヤブスゲ節のホスゲがあげられます。ホスゲはさらに苞葉が目立たず、小穂よりも少し長い苞葉が12枚あるくらいです。また、ホスゲの方がより冷涼な地方に生育し、岐阜県ではホスゲが飛騨地方に分布する感じです。