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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

徳島で出会った植物-24.タネツケバナ-

徳島で最もきれいに、たくさん咲いていたのはタネツケバナでした。

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タネツケバナは北海道~九州までの日本全国に分布し、早春~春に開花します。水田を中心に湿った環境に多く生育、稲作前の水田はタネツケバナの花畑です。タネツケバナの仲間は分類が難しいので、基本となるタネツケバナはよく覚えておいたほうがよいですね。

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タネツケバナの特徴は次の4点です。
①花:花は白色で花弁が4枚です。
②果実の形:果実は幅よりも長さが長く(植物用語で長角果(ちょうかくか)と言います、細い円柱形です。
③葉の形:葉は羽状複葉で、小葉の枚数が多く、頂小葉はとなりの小葉より少し大きいくらい。
(用語解説は砂写真参照して下さい)
④茎の毛:茎に短毛を密生します。特に下部のほうで顕著です。私は、類似種のミチタネツケバナやオオバタネツケバナとの違いに、この特徴を重視しています。ミチタネツケバナ、オオバタネツケバナは茎の毛が殆ど無毛です。
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タネツケバナの仲間は種が多いのに加え、図鑑にも出ていない種があるのが難点です。コタネツケバナ、コシジタネツケバナ、ニシノオオタネツケバナ等、簡単に調べられない種がいくつかあります(私も見たことがないです)。
あとは個性の違いが大きいのも、調査屋さん泣かせといえます。

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上の写真の個体は、ちょっと日陰で、水分の多い環境で育った個体です。20cm以上の大きさになり、全体的に緑色が濃い感じです。

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こちらの写真は、日向でちょっと乾燥しやすい環境で育った個体です。5cm程度の大きさで、全体的に紫色です。植物を覚えはじめの人にとっては、これ同じ!?となると思います(私も始めの頃はそうでした)。私が見た感じでは、水分が多いところのものは大型になり、日陰のところで緑色が強くなる傾向にあります。水田なんかでは、日当たりがよいので紫色が強い個体が多いと思います。

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ただ、個体の大きさについては、かならずしも環境だけではないのかもしれません。同じ環境で育っても、上の写真のように雰囲気が異なる個体が生えています。右の個体なんかは基部に葉が集まるので、外来種のミチタネツケバナにも似ていますが、よく見るとタネツケバナです。こんなに違いが出ると、人の目では同じ環境に見えても、植物にとっては違うのかもしれません。
個性豊かなタネツケバナの仲間は、いつまでたっても見飽きることはなさそうです。