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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

2020年の出会いベスト5(第5位)-339.ヤクシマヒメアリドオシラン-

今年はコロナウィルスに振り回された1年でしたが、なんとか大きな事故や怪我もなく1年間現場をまわすことができました。それでは年末恒例の出会いベスト5です!第5位はヤクシマヒメアリドオシランです。

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愛知県にて(8月5日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

コロナ渦の合間をぬって屋久島にでも行ったのかと思われそうですが、屋久島には行っていません。ヤクシマヒメアリドオシランはラン科ハクウンラン属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、「ヤクシマ」と名前につきますが、本州(中部・近畿地方)・四国・九州・琉球と広範囲に分布します。あまり見たことがないので、どのような樹林に生育するのかはわかりませんが、谷沿いの樹林に多いような気がします。

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薄暗い樹林に生育する小型のランなので、花が無いとなかなか気づかない。

ヤクシマヒメアリドオシランは同じ属のハクウンランと比較的最近までごっちゃにされていたようです。私も今回見たヤクシマヒメリドオシランを10年以上前に同じ地域(同じ個体ではないですが)で見た際はハクウンランだと思っていました。その頃はヤクシマヒメアリドオシランの存在は知らなかったですし、古い平凡社の図鑑ではヤクシマヒメアリドオシランの分布が九州の島嶼部になっていたので、本州でこれを見て、「ヤクシマヒメアリドオシランだ!」なんてとても言えなかったでしょうね。そう考えると、10数年でいろんな知見が得られましたね。新しい平凡社の図鑑を見ると、新しい情報の多さに驚かされます。そもそも分類体系が10数年前とはガラッと変わりましたしね。

ヤクシマヒメアリドオシランは過去にも見ているので初見ではありませんが、ちゃんと同定したという点では初めてかもしれません。ヤクシマヒメアリドオシランの特徴は次の3点です。

①全体大きさ:花が咲いている状態で大きさは10㎝前後です。花が咲いていない個体だと、多くは5㎝以下です。

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②葉:暗緑色の卵形の葉を3-7枚程度互生(ごせい:葉が交互に着く)します。葉の長さは1㎝以下で、無毛です。

③花:花は赤味を帯びた花茎の先に1-4個つけます。花の正面の唇弁(しんべん:写真参照)は白色か淡いピンク色で、裂片が三角形状になります。

類似種としては、ハクウンラン、アリドオシランなどがあげられます。いずれも葉だけでは区別が難しいので、花がないと同定はできないような気がします。花があれば、ヤクシマヒメアリドオシラン、ハクウンラン、アリドオシランのそれぞれの花の形が異なるので、比較的簡単に区別できると思います。ただ、ハクウンランは属が同じなので、慣れないと識別が難しいかもしれません。ハクウンランは唇弁の裂片が四角形気味になる点が異なるようですが(写真参照)、なかなか微妙な違いですよね😅。