身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

野生のチューリップ-308.アマナ-

春の花壇を彩るチューリップ、きれいですね~。チューリップといえば園芸植物の代表みたいな花ですが、なんと日本に野生のチューリップがあるのです!

f:id:shimisyoku:20200331085637j:plain

滋賀県米原市にて(4月28日)。産地記載ないものは全て同じ撮影日・撮影場所。

野生のチューリップの名前はアマナです。写真で撮影すると大きな花にも見えますが、実物は草丈15cm程度で、花びらの長さも2-3cmです。チューリップとしてはかなり小型で、色合いも目立ちません。色鮮やかで派手なチューリップとはあまり似ていない雰囲気ですが、花の構造はよく似ています。

f:id:shimisyoku:20200331085827j:plain

自宅近所の個体(3月22日)。いつまでも無くならないでほしいな。

野生のチューリップと聞くと非常に珍しい感じもしますが、うちの近所の水田周りにも生育しています。ただ、残念ながら以前に比べると個体数は少なくなっているような気がします。近所の群生地は生育環境として悪くなく、葉は毎年数100枚以上出るのですが、花は10個未満しか咲きません。なぜなんですかね~。

f:id:shimisyoku:20200331090100j:plain

開花個体には2枚の葉が出て、花茎には2枚の苞である。

アマナはユリ科チューリップ属(アマナ属とされる時もある)の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、福島県以西の本州・四国・九州に分布します。山奥というよりは人里に近い草地で見ることが多いので(個人見解です)、多分、農耕地の放棄や、宅地等への開発によって、全国的に減ってきていると思います。

f:id:shimisyoku:20200331090357j:plain

伊吹山山頂は私がこれまで見た中では一番の群生地でした。

f:id:shimisyoku:20200331090512j:plain

群生してもこの状況(笑)。写真の中でも50花程度は咲いています!

去年、伊吹山に登った際は、山頂付近で多数のアマナが咲いていて驚きました。人里近い原野に生育する植物と思っていましたが、自然性の高い草原にも結構生育しているのかもしれません。

アマナの特徴は次の3点です。

f:id:shimisyoku:20200331090725j:plain

①大きさと確認できる時期:大きさは15-20cm程度です。春植物なので2~3月に葉が出始め、3~5月頃に開花し、7月頃には枯れて地上部が無くなってしまいます。

f:id:shimisyoku:20200331090757j:plain

②葉:花の咲かない個体は1枚だけ葉を出しますが、開花個体は地際に2枚の葉を出します。葉の長さは15-20cmで、幅は約5-10mm、縁は表面側に少し反り、先端はボート型になります。葉の色は白っぽい緑色で、チューリップの葉の色に似ています。

f:id:shimisyoku:20200331090832j:plain

③花:花びら(花被片)は6枚で、長さは2-3cm、形状は披針形です。色は白色で、外側に明瞭な暗紫色の線が入ります。

よく似た種類としてはヒロハノアマナがあげられます。ヒロハノアマナはその名の通り、葉の幅が1cm以上と広く、葉の中央に白い線が入るのが特徴です。ヒロハノアマナの方が生育量は少ない感じで、私も数回しか見たことがありません。