身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

熊野古道〔馬越峠〕その1-(三重県紀北町・尾鷲市)-

銚子川沿いの早咲きの桜がほぼ満開の2月下旬、熊野古道伊勢路を歩いてきました。この日は道の駅海山(みやま)から馬越峠に向かい、天狗倉山に登って、来た道を戻るルートです。今年は暖かい冬なので、季節もちょっと例年より早いのかもしれません。ウグイスやタゴガエル?が鳴き、快適なハイキング日和でした。

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国道脇から石畳の道が始まります。看板もあるので迷うことはないでしょう。

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石畳の道はスギ・ヒノキ植林の山の中を緩やかに上って行きます。登り初めのうちは国道に近いため車の音が聞こえますが、15分も歩けば静かな古道の雰囲気が楽しめます。スギ・ヒノキ植林の道は単調ですが、生育している植物に目を向けると、結構南国感があって楽しめます。私の住む岐阜ではお目にかかれないような植物があって、なかなか前に進めません(笑)。

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少し歩くと夜泣き封じを願う「夜泣き地蔵」に到着。うちは夜泣きを封じ込める必要性はないですが、子供が小さいご家庭の方は、石を積んで祈るとよいかもしれません。

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途中2か所ほど沢を渡ります。カエルの繁殖期のようでコロコロと可愛らしい鳴き声が聞こえました。

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(写真は下り坂を写しています。)

2本目の沢を渡ると石畳の道は尾根を通るようになるので、ちょっと勾配が急になります。それでもしっかりとした石畳の道が続きます。重機のない時代に石をこんなに運んですごいですよね。月並みですが、どうやって運んで来たんですかね?馬や牛が引いて来たのかな?石畳の道は国道入口から現在の林道と交差するところまでが素晴らしく、絵になる写真が撮れると思います。

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道沿いは胸高直径30cm程度か、それ以下の大きさの樹が多い。

馬越峠までの道はほぼ全てスギ・ヒノキ植林の中を通っています。道周辺のスギ・ヒノキは細いものが多く、戦後に植栽されたものではないかと思われます。熊野古道がいつ頃出来たかはわかりません(歴史に疎いので)が、11~12世紀頃には熊野詣でのメジャーな道となり、江戸時代には石畳が整備されていたようなので、明らかに道の方が古いわけですね。江戸時代以前に通った人たちが見た景色と、今私が見ている景色はひょっとしたらだいぶ違っているのかもしれませんね。

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そんなことを思っていると、道沿いに巨大なスギが3本とヒノキが1本現れました。最近周囲長が計測されたようで、チョークで2.85m~4.0mといった数値が書かれていました。だいたい直径1mぐらいのようですね。なかなか立派な大木なので、彼らは江戸時代の頃の古道の賑わいを知っているかもしれませんね。大木を過ぎると馬越峠はもうすぐです。

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馬越峠には明治時代まで茶屋があったようです。確かにここで一服したい気分になりますね。現在は峠からの眺望は殆どありませんが、昔は木々を燃料として使用していたから、峠からの眺望があったかもしれませんね。

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ウバメガシの群落。海沿いのやや乾いた斜面に成立します。

馬越峠から天狗倉山までは普通の登山道です。この登山道に比べたら熊野古道の石畳の道がいかに立派であるかわかります。天狗倉山までの登山道の南側斜面は、ウバメガシやツブラジイからなる常緑広葉樹林が広がり、これまでと異なる景観が見られます。

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山頂周辺からは眼下に尾鷲の港や町、遠くに熊野の山々が見渡せ、とても気持ちいいです。

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山頂の巨大な岩に登るハシゴ!

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巨大な岩の脇に立つ近代的な祠。

山頂には巨大な岩と祠があり、岩には階段がついていて登ることができます。私はあまり高い所が好きじゃないのと、先客がいたので登りませんでしたが、登るとさらに眺望が開けると思います。

古道は薄暗い林内を通るので、植物からは意外と季節感は感じづらいかもしれません。この日出会ったシダ以外の植物を紹介します。

 

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サンショウソウ。足元に群生する小さな植物。一応、つぼみをつけています。

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ハナミョウガミョウガのような大きな葉をつける植物。5-6月にピンク色の花をつける。

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アオモジ。新しい植林地に生育。この日見た唯一の花らしい花。

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カギカズラ。葉の腋にかぎ爪がある変なつる植物。

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カンザブロウノキ。特に目立つ特徴のない植物だけど、名前は特徴的。