身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

北山(岐阜県各務原市)

桜が終わった先日の日曜日は冬に戻ったかと思うぐらい寒かったですね~。その日は岐阜県植物研究会の植物観察会で、岐阜市各務原市、関市の境界付近の山塊にある北山(山の名前)を訪れました。

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桜は終わってしまいましたが、コナラやアベマキの新緑が美しく、散策するには気持ちのよい季節です。この山塊はスギやヒノキの植林地以外はコナラやアベマキ、アカマツを主体とした樹林が殆どで、この地域ではごく普通の植生です。

しかし、この日訪れた山塊の植生が約20年前の山火事から復活した植生と聞くと、がぜん興味がわいてきます(山塊全てが山火事で消失したわけではありません)。

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立ち枯れた針葉樹の幹が白骨のよう。これは火事で燃えて枯れてしまった木の名残。

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ここからは観察会の解説をしてくださった方々の話が主となりますが、山火事で消失した樹林を元にもどそうと、多くのボランティアの方々が植樹をしてくださったようです。元の植生を意識してコナラやアベマキ、ヤマザクラというこの地域の普通種を主に植えた点では環境への配慮がうかがえます。ただ残念なことに当時は遺伝的な交雑という点までは意識されておらず、苗木の出所までは考慮されなかったようです。当時参加した方がおっしゃるにはこの地域には殆ど分布しないクヌギがまじっており、苗木の一部は東日本から届いたのではないかと推測されていました。また、山にある木だけでは味気ないと思ったのか、林道沿いなどにはミツバツツジ類やツバキ類といった花木も植えられたということでした。ただ、この山塊がチャート質で土壌が浅いのに加え、在来種も復活してきてそれらとの競争により、だいぶ植栽した木が枯れてしまったとのことでした。

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確かに樹林内には焦げた跡のある高木(ちゃんと生きています)があり、植栽後20年にしては大きすぎるコナラなども結構ありました。

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現在のところ、全ての植栽樹が枯れたわけではなく、自生の木と植栽樹か混生してしまい、区別がつかない状態だということです。実際、林道沿いにはミツバツツジ類が点々と生育していたのですが、このあたりに普通のコバノミツバツツジは殆ど無く、ミツバツツジ、ユキグニミツバツツジトウゴクミツバツツジが脈絡なく生育していました。全て植栽種なのか、自生種もまじっているのかわからない状態で、確かに問題だなと感じました。自生していない種とわかればまだいいですが、当然生えていて普通のコナラについては遺伝子を調べない限りは自生由来か植栽由来かわからず、考え方によってはこちらの方が問題かもしれませんね。

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私はその山火事騒動が起こった後に岐阜に移住したため、山火事直後の状況については全くわかりません。推測ですが、山火事で全ての植物が枯れることは無く、特に地表付近の草は殆どが生きていたと思われます。樹木についても生き残った木はあるだろうし、萌芽して再生する木も多かったと思われます。明るい環境には新たな木々も定着するはずです。多分、植樹をしなくても樹林は回復したのだろうと思います。でも、当時の近隣の住民の方々が早く元の樹林に戻ってほしいと思い、植樹をした気持ちもわかります。現在ほど遺伝的かく乱といった話も出ていなかったと思うので、時代的にもやむをえません。

今回訪れた北山周辺の山塊の事例は若干残念な結果もありますが、これを教訓に次につなげていければいいのではと思います。植物調査に従事する身なので、とてもよい勉強になりました。過去の情報を教えてくださった皆様、どうもありがとうございました。

んか難しい話が多くなってしまいましたが、山火事後も元気に生活している植物を紹介します。

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コバノガマズミ。日当たりのよいところの個体が咲き出していました。

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ヤマツツジ。これは自生のツツジだと思います。ちょうど見頃でした。

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マルバアオダモ。ちょっと早いような気がしますが、だいぶ咲いていました。

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ウワミズザクラ。ピンクの桜は終わってしまいましたが、これはこれからがピーク。


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ニオイタチツボスミレタチツボスミレに比べると色が濃くてきれい。