覚えておきたい針葉樹-234.ヒノキ-
そろそろヒノキの花粉が飛び始めたころでしょうか。
岐阜県関市にて(3月24日)。茶色の部分が雄花。この日は硬かったけど、もう花粉を飛ばしていることでしょう。
車のボンネットが黄色くなっています。ヒノキのような針葉樹は花が目立たない上に、花が木の上の方に着くので、花が咲いているなんて普通気づきませんね。でも、ヒノキについては天気予報の花粉情報を見ることによって(花粉症の方は症状が出ることによって)、咲き出したんだなーということがわかります。
岐阜県関市にて(3月24日)。ヒノキの根元にヒノキボックリが落ちていました。花が咲けば実もなるということですね。
春先の花粉情報により、スギとともにヒノキの名前を知らないという人は殆どいないと思います。でも、自信を持って「これがヒノキだよ」と示せる人は意外と少ないかもしれません。私のような環境調査を生業としている人でも、動物を専門にやる方の中には、スギとヒノキの区別が怪しい方もたまに見るので、知らなくても全然問題ないですね。ちょうどこの時期はタイムリーなネタなので、ヒノキについて紹介しておきます。
岐阜県関市にて(3月28日)。ヒノキの植林。他の木もまじっているけど殆どはヒノキです。電柱の背後の茶色っぽい木はスギですね。
ヒノキはヒノキ科ヒノキ属の常緑高木(じょうりょくこうぼく:冬にも葉がついている、10m以上に成長する木)で、大きいものは30mにもなります。小学校でならったかもしれませんが、ヒノキは裸子植物で、針葉樹です。裸子植物の解説は面倒なので省略しますが、針葉樹というのはマツのようなとがった形の葉を持つ植物を指します。ヒノキの葉はとがっていませんが、針葉樹の仲間になります。本州(福島県以南)・四国・九州に分布しますが、よく見るのは植林された個体です。ヒノキは材木として非常にすぐれており、平野部から山地まで、各地で植えられています。今では天然の林は少ないと思いますが、深山の急峻な斜面や、やせ尾根に生育しているものは野生の個体かもしれません。
ヒノキの特徴は2点です。
①全体の容姿:樹高が10m以上になり、幹は直立。常緑なので冬も青々としています。
②葉:葉は平面的で裏面にY字状の白色の線があります。この白色の線の部分に気孔(きこう:二酸化炭素を取り込んだり、水を蒸散させたりする穴)が多数あるようで、白色の線は気孔群と呼ばれます。気孔群は若い葉では目立ちますが、古い葉だと目立ちません(白色の線が無いように見える)。
似た植物にはサワラがありますが、サワラは裏面の白色の気孔条の形が異なります。ヒノキとサワラの識別は葉を手に取れば簡単ですが、遠くから見て両者を区別するのはかなり難しいです。私もあまり自身がありません。その他にはクロベやアスナロなどもありますが、これらはヒノキよりも葉の幅が広くなります。ヒノキとともに花粉症の元凶となるスギは、葉が立体的で先端は針のようにとがります。スギとヒノキは遠くから見ても識別できますが、春先はどちらにしてもこれらの植林地には近づきたくないですね。