身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

覚えておきたい針葉樹-266.アカマツ-

スギヒノキに次いでよく見る針葉樹と言えばアカマツでしょうか。

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福島県いわき市にて(4月27日)。落葉広葉樹林内にひときわ大きな巨木が。直径70cm程度あったと思います。

アカマツはマツ科マツ属の常緑針葉樹で、大きいものでは樹高30m以上になる高木です。北海道南部・本州・四国・九州(屋久島まで)と、ほぼ日本全国に分布する樹木ので、見たことのない人はいないと思います。

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アカマツの松ボックリ。長さは4-5cmで、国産マツの仲間の中では小さめ。

どれがアカマツかはわからなくても、松ボックリを見れば、「あー子供の頃拾ったな~」とか、「子供に拾ってあげたな~」「リスが食べてたな~」といった思い出がよみがえるかもしれませんね。

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岐阜県美濃市にて(2月10日)。アカマツ二次林。緑色の大半はアカマツ

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斜面を人工的に切った跡地にも時間が経過するとアカマツが生えてきて樹林になる。岐阜県関市にて(2月10日)。

アカマツ林は半自然的にできあがった森林(二次林)と、人が植栽してできた森林(植林)、自然の森林(自然林)3つのタイプがあります。半自然的にできあがった森林とは、人々が木を頻繁に伐採することによって自然にアカマツが生えてきているような森林を指します。アカマツは明るいところに先駆的に定着する植物で、かつ乾燥に強く、成長の早い植物です。そのため、伐採からそれほど時間の経過していない森林や、乾燥気味の尾根筋では自然とアカマツが優占してしまう場合があり、このようなアカマツ林は半自然的な森林と言ってよいと思います。

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尾根に立派なアカマツ林が残っている。周囲の木は樹高が低いので過去に伐採されている。これは自然にはえてきたアカマツをあえて切り残したと思われる。静岡県川根本町にて(7月10日)。

逆に人々が刈り残すことによって二次的にできあがったアカマツ林もあります。尾根は土地の境界の目印となるせいか、尾根だけ木が切られないことがあります。そのため立派なアカマツ林が尾根上に残っていることもあり、これも半自然的なアカマツ林といえると思います。

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福島県いわき市アカマツ植林(4月26日)。植林と二次林の違いは、植栽履歴がわからないと、正直よくわからないことが多い。植林の方がアカマツの密度が高いような気がする。

アカマツ植林はスギやヒノキと同じように人が植えた樹林です。アカマツ植林は私の住む近所では殆ど見ませんが、長野県や東北地方の太平洋側ではかなり立派な樹林を見かけます。アカマツもスギ・ヒノキ同様、材木として重宝するようです。

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樹林にはなっていないが河川敷の砂礫地にはえてきたアカマツ。洪水で流されずに立派なアカマツになれるかな?長野県中川村にて(11月5日)。

ここまではいずれも人里に近いアカマツ林ですが、奥山の断崖絶壁や河川敷の砂礫地なんかにもアカマツ林は成立します。このような場所は人為的な関与が少なく、当然人が植林することはできませんよね~。このような環境は土壌が極端に薄く、乾燥の厳しい立地のため、他の植物が定着できないことによってアカマツ林が持続することがあり、このようなアカマツ林は自然林と見てよいのかもしれません。ただ、このような純粋なアカマツ自然林は全国的に面積はそれほど広くなく、アカマツ林の殆どは人里近くに多い身近な森林だと思います。

アカマツの特徴は次の2点です。
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①全体の容姿と樹皮:樹高は10m以上になり、普通に20m程度になります。幹は直立気味ですが、斜めだったり、曲がったりします。樹皮がオレンジ色から赤茶色なのが特徴で、上部の方で色が鮮やかになります。樹皮は老木になると亀甲状に割れます。クロマツに対して樹皮が赤茶色っぽいのでアカマツと名づけられたようです。
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②葉:葉は針状で長さが7-10cm程度。葉は2本が根元でくっついていて、このようなマツを二葉松(にようまつ)と呼びます。盆栽でよく使われる五葉松(ごようまつ)は、5本の葉が根元でくっついているため、そのように呼ばれます。外国産の松では3つの葉がくっつく三葉松(さんようまつ)もあります。アカマツの葉の先はとがっていますが、葉が柔らかいため、葉の先を手で触ってもそれほど痛くはありません。これが同じ二葉松のクロマツだと、葉が硬いためかなり痛いです。


アカマツと間違える植物は殆どないと思いますが、同じ二葉松のクロマツは少し似ています。クロマツはその名のとおり幹が黒色で、海辺に多い点でも異なります。岐阜県美濃地方の東部では山の中なのに樹皮の黒い松が見られ、これはアカマツクロマツの雑種のアイグロマツと言われています。