身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

熊野古道〔馬越峠〕その2-(三重県紀北町・尾鷲市)-

紀伊半島に来たらシダ植物でしょ~。特に冬~早春の見るべき植物があまり無い時は、シダ観察にもってこいですね。今回は往復3時間(多分歩くだけなら半分程度の時間で行けると思います)とわずかな時間でしたが、十分に楽しむことができました。シダに着目して紹介したいと思います。

 

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生育量的に最も多いのはウラジロですね。正月飾りに使うシダです。ちょうど新芽が出るタイミングで、ワラビのようなクルッとした葉が今だけ可愛いですね。乾燥した斜面に群生して、大きいものは人の背丈程になるので、実際はやっかいなシダです。

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ベニシダも生育量の多いシダです。冷涼な地域を除けば日本全国でごく普通に見ることができるシダです。ただ、似たような形のものが多いので、慣れるまではかなりやっかいな奴です。

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こちらはマルバベニシダ。新しい葉が出て若い胞子嚢をつけるころであれば、ベニシダは胞子嚢が赤色、マルバベニシダは胞子嚢が白色という点で区別できます。ただ一目で違いに気づくようになるには大分時間がかかりました。今でもどっちか分からない時もあります。

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大きい方がオオキジノオ。隣の小さい方がタカサゴキジノオ。

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これがタカサゴキジノオだと思います。雑種ではないと思いますが…。

オオキジノオとキジノオシダも生育量は多かったです。これらによく似たタカサゴキジノオというのも点々と生育していました。これらは似ている上に雑種もつくるようなので、だんだん見ているうちに、これはどっちだ?という感じになってきたので、途中から見ないようにしました。

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ミヤマノコギリシダ類も多かったです。ミヤマノコギリシダは最近出た日本産シダ植物標準図鑑では、ミヤマノコギリシダ、ホソバノコギリシダ、オオバミヤマノコギリシダと複数種に分けられました。しかも、それぞれで雑種もできるようで、古道沿いも様々な形のものがありました。標本を採らないと私にはわからないレベル(標本採ってもわからんかも)なので、ミヤマノコギリシダ類という感じでまとめておきます。

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ニセコクモウクジャクは大きなシダです。ちゃんと胞子嚢が外側についていたので間違いないと思いますが、肝心な胞子嚢の写真はボケボケで使い物になりませんでした。この仲間も似た奴が多く、コクモウクジャク、シロヤマシダなんかが間違いやすいところでしょうか。

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沢沿いの岩にくっついていたのが、このシシランです。「ラン」と名前につきますがシダです。一見するとシダっぽくないからこんな名前がついたのかもしれません。

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これも沢沿いの岩にくっついていたホソバコケシノブ。葉の質感がとても薄く、雨が降らないと干からびてチリチリになってしまいます。なんとなくコケのような雰囲気のシダです。

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天狗倉山近くの乾燥した岩上に群生していたのは、このヒトツバです。ヒトツバは乾燥した岩場に多く、乾燥に耐えるせいか、かなり硬めの葉をつけます。これも特徴的なシダだと思います。

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同じく天狗倉山の山頂近くで見つけたのがナチクジャク。これはあんまり見たことがないシダだったのでテンションがあがりました。

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さらにテンションがあがったのが、このエダウチホングウシダ。ただ、図鑑で見たのに比べると葉の鋸歯がとがっているのが気になりましたが、多分エダウチホングウシダだと思います。これは岐阜県には無いシダなので、うれしかったですね。

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そして一番テンションがあがったのがクサマルハチ。これは珍しいんじゃないですかね?これはヘゴ科のシダで、沖縄や小笠原なんかで見られる木になるシダ(ヘゴやマルハチ)と同じ仲間のシダなんですよね~。南国感が最高です。ただ、クサマルハチは「クサ」とついていることからも想像できますが、木のように大きくはなりません。

この日見たシダ類は、ウラジロ、コシダ、ナチクジャク、ヌリトラノオ、シシガシラ、オオキジノオ、キジノオシダ、タカサゴキジノオ、ベニシダ、マルバベニシダ、コバノイシカグマ、フモトシダ、ミツデウラボシ、コウヤコケシノブ、ホソバコケシノブ、ナガバノイタチシダ、エダウチホングウシダ、トウゴクシダ、コバノカナワラビ、ミゾシダ、ホラシノブ、オオベニシダ、ヒトツバ、ミヤマノコギリシダ類、オオカナワラビ、クリハラン、シシラン、タニイヌワラビ、カタヒバ、ヘラシダ、ニセコクモウクジャク、コクモウクジャク、イシカグマ、クサマルハチでした(順番は適当)。標本採ってないので、間違いがあるかもしれません。探せばもっとたくさんのシダがあると思います。いや~、面白かった!