身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

地元で撮影した植物-175.クサスゲ-

「クサスゲなんてあんまり身近な植物じゃないなー」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、うちの近所ではとても身近な植物です。近所の山の谷に入ると、たくさん生育しています。近所に山がある時点で、住んでいるところが街ではないことがわかります(笑)。

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岐阜県関市にて(4月30日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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湿った明るい樹林や、林縁にポツポツと群生します。

うちの近所では普通のクサスゲですが、関東に住んでいた時は見たことがありませんでした(気づかなかっただけかもしれませんが)。岐阜県に移り住んだときは、「変わったスゲがいっぱいあるなー」と正直驚きました。住んでいる場所によって身近な植物は変わるものなんですね。
話は変わって、クサスゲという名前、なんとも適当な名前ですよね。スゲの仲間なんて、みんな草なのに・・・。なんでクサスゲという名前にしたんでしょう?

クサスゲはカヤツリグサ科スゲ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、アオスゲの仲間です。北海道・本州・四国・九州の湿った樹林内や草地に生育します。岐阜県では全域に分布しますが、雪の多い地方ではやや少なめのようです。

クサスゲの特徴は次の4点です。スゲ類の用語解説はココ
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①大きさと生え方:30cm以下でアオスゲと同じくらいの大きさです。株になりますが、だらしない株で掘りあげると、短い匍匐枝(ほふくし:地面を横に這うような茎)があります。
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②雌小穂:雌小穂は3-4個つきます。上部の2個はアオスゲのように雄小穂と近接してつきますが、最下のものは少し離れて茎の中ほどにつくことが多いです。また、下部の雌小穂は、すぐ下の苞葉(ほうよう:小穂の下に付く葉)よりも短いです。
③雌鱗片:中央脈は緑色で、脇は白色です。鱗片の芒は短いです。
④果胞と種子:形が特徴的で果胞の中央付近にわずかにくびれがあります。果胞をむくと種子がでてきますが、くびれは種子だと顕著にわかります。このくびれはたまたまではなく、全てこんな感じです。

似た植物はアオスゲの仲間があります。慣れれば、生えている環境や穂の付きかたですぐにわかりますが、慣れるまでは類似種との識別が難しいですね。それでも、ひょうたんのようにくびれた種子(ちょっと大げさか)をルーペで確認すれば、クサスゲとわかるので、できるだけ成熟した個体を探すとよいと思います。