身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

渡良瀬で出会った植物-191.ノウルシ-

先日訪れた渡良瀬遊水地でとてもきれいに咲いていたノウルシです。

イメージ 1
栃木県小山市にて(5月2日)。以下、ことわり無ければ撮影場所・撮影日同じです。

イメージ 2
見事な大群落です!!この時期ならではの光景です。

訪れた時期がちょっと悪かったのか、早い時期に咲くスミレ類は終わってしまい、ノウルシ以外では花の咲いている植物が少なかった。でも、これだけきれいに咲いているノウルシに出会えたので、よしとしましょう。

イメージ 3
きれいな花には○○がある・・・。

こんなにきれいなノウルシですが、実は毒草(薬草)のようです(これを書くまで知りませんでした)。全草にユーフォルビンというアルカロイド系の毒素を含むようです。この仲間は属名で「ユーフォルビア」と呼ばれますが、この属名は毒素の名前に由来するようです。「野外毒本」(羽根田治著.山と渓谷社によると、誤食すると嘔吐や腹痛、草の汁が皮膚につくと炎症を起こすとあります。

イメージ 4

確かにノウルシを含むこの仲間はちぎると白い液が出ます。子供の頃に類似種のトウダイグサをちぎって遊んだ記憶があります。私はこの液を少し指で触ったくらいでは皮膚炎をおこしたことはなく、てっきり白い液が出ることが「ウルシ」の語源かと思っていましたが、人によってはちゃんとかぶれるんですね。皆さん注意して下さいね。

ウルシはトウダイグサ科トウダイグサ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道、本州、九州に分布します。平野部の湿った河川敷や湿地に生育します。

ノウルシの特徴は次の4点です。
イメージ 5
①生え方:若い個体は茎1本の時もありますが、たいていは複数の茎が根元から出た上に、茎も多数分枝して大株になります。
②葉:葉は互生し、つるんとしていて無毛、全縁です。ちぎると白い液が出ます。
イメージ 6
③苞葉の色彩:苞葉(ほうよう:花の下にある葉)は鮮やかなレモン色になります。でも、この色彩は花の時期だけで、果実の時期になると緑色になり、周囲の草と同化してしまいます。
イメージ 7
④花と実:トウダイグサ属の仲間は変わった花をつけます。この花を見たらトウダイグサ属で間違いありません。花の付属体(ふぞくたい:写真参照)は半円形に近いです。雌花の子房がそのまま大きくなって実になりますが、子房や実には明瞭な突起が多数出ます。


比較的よく見る類似種としては、トウダイグサ、ナツトウダイ、タカトウダイがあげられます。トウダイグサは子房や果実に突起がない点で見分けられます。ナツトウダイは全体緑色で付属体の先がとがる点で異なります。タカトウダイは全体緑色で大株になることはありません。