身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

高戸屋山-(山形県東置賜郡川西町)-

秋は忙しく、現場の「はしご」というのもたまにあります。今回は福島県から山形県の移動の途中で半日ほど時間が空きました。半日時間が潰せる面白い場所はないかな~と思って移動経路の途中を調べていると、高戸屋山という山が目に留まりました。山形県南部の内陸部にある標高368mの低山で、往復3時間程度のコース。それでいて山形県の100名山に選ばれている山のようです。これは行くしかないでしょう!

 

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登山口入口の看板。この日はキノコ採りの1組としかすれ違いませんでした。

川西ダリア園の駐車場に車を止めて、東回りコースから登り、西回りコースを降りるルートにしました。尾根道を歩くルートで、ところどころで急な登り下りがありますが、距離的には短くほぼ平坦な道が続きます。

 

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東回りコースはいきなり急登。この坂マウンテンバイクでも登るのか?

 

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だいたいはこんな感じの平坦な道。ハイキング装備で十分です。

道は整備されていて歩きやすいですが、雨上がりということもあってかなりぬかるみ、部分的に滑りやすい所も。足回りだけはしっかりしておいたほうがよいかもしれません。

 

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東回りルート稜線より東側の稜線を望む。歩いている稜線も遠目にはこんな感じ。

道沿いの大半はコナラやコシアブラ、ヤマウルシ等の亜高木、低木が混じったアカマツの疎林で、部分的にコナラ群落が分布します。毎回、このようなアカマツの疎林を見ると、植林なのか自然に成立した樹林なのか迷うのですが、アカマツ林が自然に維持されるようなやせ尾根ではないので、多分植林起源なのでしょう。

 

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稜線上はマツノザイセンチュウによる松枯れが目につきます。

ただ、管理は粗放的で自然にアカマツが枯れたり、倒れたりして疎林になったのだと思います。この地域でもマツノザイセンチュウによる松枯れの被害が小規模ながらあるようで、これも疎林となってしまった原因の一つかもしれません。

 

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小さなコナラではありません。腰丈ぐらいで実をつけるミヤマナラです。

 

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登山道沿いに小規模な群落がある。コナラやミズナラも混じりちょっとややこしい。

標高300mまで登ったあたりから、低木状のナラが点々と出現してきます。ミヤマナラです。多雪地の山地に特有の植物で、以前に朝日連峰飯豊連峰を訪れた際にも見ました。ここではまとまった群落は見ませんでしたが、尾根上や急斜面に小規模な群落がありました。

 

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登山道沿いにはこの1株しかありませんでした。間違えて来ちゃったのかな~

ミヤマナラの群落が成立しているところは尾根なのになんとなく湿っている場所が多く、湿地の植物のウメバチソウが咲いていました。ミヤマナラは東回りコース(東側の稜線)で多く見られます。

 

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ヤマウルシの美しい紅葉。隣のヤマウルシはまだなので紅葉にムラがある感じ。

紅葉は低木類で進み始め、ヤマウルシはだいぶきれいに赤くなっていました。ただ部分的に枯れているものも多く、今年はあまりきれいではないのかもしれません。秋の花は多くなかったので、実も交えてこの日出会った植物達を紹介します。

 

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アキノキリンソウ。秋の定番中の定番。これは個体数多かったです。

 

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オケラ。乾いた樹林に生育する植物。やや珍しい植物でこれに出会うとラッキーという気分になります。

 

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オヤマボクチ。ちょっとお化け的な植物。大きな植物ですが花色が地味なので通り過ぎてしまうかも。

 

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ナツハゼ。人の背丈ぐらいのツツジ科植物。ブルーベリーのような黒い実を房状につけます。

 

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アクシバ。膝丈ぐらいのツツジ科植物。赤い丸い実を少数つけます。

 

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ウスノキ。15cmぐらいのツツジ科植物。うちの近所に生育しているものに比べると、極端に小さな個体です。変種のコウスノキかもしれません。角張った赤い実が特徴です。

 

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山形100名山の割にはそっけない。草花が多いので選ばれたのかな。

山頂は味気なく眺望もありませんが、三角点は白くて立派(笑)。今回は時期的に花が少なかったですが、春はヤマツツジ、オオイワカガミ、イワナシ、ヤマツツジ、シュンラン等多くの花が咲いてきれいだと思います。膝丈程度のユリに実がついていたので、ヒメサユリかもしれません。野生のキキョウもあったので、夏も楽しいかもしれません。写真は10月20日前後のものなので、記事を掲載した頃にはさらに紅葉が進んでいると思います。