身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

妙高山・火打山登山(3日目:高谷池ヒュッテ→火打山→高谷池ヒュッテ→富士見平→笹ヶ峰登山口)

昨晩はさらに冷え込みました。夜はみぞれが雪になったのかもしれません。高谷池湿原は昨日よりもさらに白くなっていました。きれいさが勝り、寒さをあまり感じませんでした。

イメージ 1

朝日に照らされてキラキラ光る氷の景色を眺めながらの登山は、この時期に山小屋に宿泊した人の特権ですね~。山小屋を出てしばらくは平坦な地形がしばらく続き、天狗の庭と呼ばれる湿原に着きます。

イメージ 2

昨日の黒沢池、山小屋前の高谷池、天狗の庭に着くまでの名も無き湿原、そしてこの天狗の庭、これらの湿地は雪田植生(せつでんしょくせい)と呼ばれます。このような場所は凹地になっていることが多く、雪が遅くまで残り、そのために湿地環境が維持されています。

イメージ 3
それにしても天狗は立派な庭を持っています。火打山を借景にして、小高い丘に針葉樹を配置し、平坦地には池を配置。冬は雪で白くなり、初夏にはハクサンコザクラでピンク色に染まり、秋には紅葉。しかもメンテナンスフリー(笑)。私もこんな庭がほしいです。

イメージ 4
異なるアングルから。池にはヒルムシロの仲間が生育しているようですが、すっかり凍っています。

天狗の庭を過ぎると本格的な登りになります。とは言っても妙高山のような急な登りではなく、ダラダラとした登りです。

イメージ 5
登り始めはオオシラビソやダケカンバのやや低い樹林が続きましたが、標高2100m付近でオオシラビソの樹林の上限になりました。かわりに出てきたのがハイマツの低木林です(氷ってます・・・)。稜線の南西側の緩やかな斜面に分布します。

イメージ 6
反対側にあたる、稜線の北東側はやや急な斜面になっています。こちらはナナカマド、ミネカエデ、チシマザクラ?等が優占するナナカマド-ミネカエデ群落になっていました(枯れていて見てもわかりませんね・・・)。ミヤマハンノキは少なく、東北地方の飯豊山朝日岳で見た植生と似ています。

イメージ 7
ただ、ハイマツ群落もナナカマド-ミネカエデ群落も分布は狭く、稜線に帯状に細く分布するのみでした(写真向かって左側が南斜面。南北で植生が異なる)。

イメージ 8
標高2300mを過ぎると山頂が近くなり、明瞭な稜線という感じではなくなります。そうなるとおなじみのミヤマハンノキ群落が多くなります。やや急な斜面ではイネ科草本ツツジ科の低木が優占する草原が出てきます。すっかり枯れていてよくわかりませんが、ミヤマキンポウゲがかろうじて生きていたので、シナノキンバイ-ミヤマキンポウゲ群団と呼ばれる亜高山帯付近に出現する草地植生のようです。

イメージ 9
火打山の頂上は標高2461mです。初冠雪のようで、山頂はうっすらと雪化粧でした。やや雲が多かったものの、素晴らしい景色を見ることができました!

イメージ 10
火打山から南東を眺めると妙高山と天狗の庭のコラボを見ることができます。ここから眺めると、妙高山が外輪山の中の中央火口丘であることがよくわかります。

イメージ 11
火打山から西側を眺めると、手前から影火打、噴煙をあげる焼山と続き、雲海の上に北アルプスが見えます。真っ白ですね~冬ですね~。

火打山妙高山はどちらも標高が2400mちょいでほぼ同じ高さの山です。ところが、植生は隣り合っているにもかかわらずだいぶ異なりました。妙高山はダケカンバ群落とミヤマナラ群落が大半を占める単調な植生なのに対し、火打山はハイマツ群落や亜高山帯の草原や雪田が出て植生が複雑になっていました。下山後に訪れた博物館から得た知識では、妙高山は新しい山で、火打山は古い山とのこと。山の生い立ちの違いが植生の違いに反映されているのかもしれません。面白いな~。

イメージ 12
こんなことを考えながら下山していたら、足元にミヤマキンバイの氷中花が。満開のお花畑はきれいだけど、これはこれでキレイかも。


イメージ 13
高谷池ヒュッテで早めの昼食をとり、そのまま笹ヶ峰登山口へと下山しました。帰りはふもとの紅葉がちょっと鮮やかになっているような気がしました。この時期の登山もなかなかよい感じでしたが、植物を見るには、もう少し早いほうがよかったかもしれません。