身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

これがフランクフルトだったら-325.ガマ-

子供の頃、ガマの穂をフランクフルトみたいだな~と思ったことありませんか?

f:id:shimisyoku:20200719100252j:plain

神奈川県川崎市にて(7月1日)。がぶりとかじりつきたくなります😁

さすがに今はそんなこと思いもしませんが、ガマは群生して一面に穂をつけていることがあるので、これがフランクフルトだったら、どれだけ食材として重宝することでしょうね。

f:id:shimisyoku:20200719100431j:plain

東京都羽村市にて(7月10日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

ところでガマのフランクフルトの部分、何だと思いますか?結構触ってみると、硬いんですよね。このフランクフルトの部分は雌花の集合体で、最終的には多数の種子がつきます。晩秋になるとフランクフルトの部分が崩れて、毛をまとった種子が多数風に飛ばされて散らばっていく様子が観察できます。

f:id:shimisyoku:20200719100535j:plain

ここの池は膝丈ぐらいでの水深があります。結構な深さまで生育します。

ガマはガマ科ガマ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州に分布します。世界的に見ても分布域は広く北半球の温帯~熱帯、オーストラリアに分布します。生育環境は浅い池沼、河畔、放棄水田に生育し、どちらかというと水深のある湿地に生育します。

f:id:shimisyoku:20200719100706j:plain

この時期になると雄花は枯れてしまっているので、薬としては使えないかな。

食料としては役に立たなそうなガマですが、民間薬・漢方薬としては昔から珍重されていたようです。どの部分が薬になるかというとフランクフルトの上の部分の粉っぽいところです。この部分は雄花で、この花粉が薬になるようです。ガマの花粉は「蒲黄(ほおう)」と呼ばれ、外用薬は軽い火傷や止血に効果があるようです。ワニ(サメ)をだまして皮をはがれた因幡の白兎(だいぶ端折りましたが)が大国様から教えられた治療法は、真水で体をよく洗い、ガマの穂を敷き詰めて、その上で転がり体中にガマの花粉をつけるという方法でした。この方法で白兎は元通りになったのですから、かなり誇張されているとはいえ、確かな効能があるのかもしれません。私はこの記事を書くまで、白兎が体にぬったガマは、「ガマの油」かと思っていました…😅。ちなみに「ガマの油」の原料は、ガマ=ヒキガエルの方で、植物ではありません。

ガマの特徴は次の3点です。

f:id:shimisyoku:20200719100937j:plain

①全体容姿:地下茎で増えるため群生します。茎は直立して1.5~2mぐらいになります。

②葉:地際付近から茎と同じ長さぐらいの真っすぐな葉を複数枚つけます。葉はゴムっぽい質感で、葉脈は殆ど目立たず、幅は2cm前後です。

f:id:shimisyoku:20200719101514j:plain

③花序:雄花群雌花群は接して隙間がありません。雌花群は長さ15-20cmぐらいで、幅も太い所で2cm程度になります。

わりとよく見る類似種としては、ヒメガマとコガマがあげられます。

f:id:shimisyoku:20200719101616j:plain

ヒメガマはガマよりも雌花の集合体が細く、雄花部分と雌花部分は接しないで軸が明瞭に見える点が異なります。コガマはその名のとおり、全体小型で草丈がたいてい1.5m以下、葉の葉も1cm程度、雌花の集合体の長さも10cm程度です。