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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

カンスゲの仲間とは?

ヒメカンスゲを紹介したので、カンスゲの仲間をもう少し詳しく掘り下げてみましょう。
植物の分類では見た目が全く違っていても、花の特徴が同じだと一緒の属や節(グループ)になることが多いです(最近の分類ではだいぶ細かくなった感じもします)。カンスゲの仲間は一見しただけで、アオスゲの仲間とは似ていません。では、どの特徴がアオスゲの仲間と共通なのでしょうか?

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カンスゲの仲間の代表としてホソバカンスゲ。富山県南砺市にて(6月9日)。

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アオスゲの仲間の代表としてノゲヌカスゲ。岐阜県関市の自宅植栽株(4月23日)。

まず、カンスゲの仲間がアオスゲの仲間と同じと言える部分を見てみます。アオスゲの特徴はココ
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①雄小穂と雌小穂に分かれて、一番上の小穂のみが雄小穂で、他は雌小穂。
雌小穂の下に苞葉(ほうよう:小穂の下に付く葉)がつき、この苞葉には鞘があります。
果実には3つの陵があり(花の時のめしべの先は3本にわかれます)、果実の先端にはとっくりの口のような突起が付きます。
この共通の特徴のうち②と③が特にヌカスゲ節(アオスゲやカンスゲの仲間が含まれる節)の大きな特徴となります。
ちなみにアオスゲ類との違いは、①の小穂の付き方で、アオスゲ類は雄小穂と雌小穂が上部に近接してつくのに対し、カンスゲ類はお互い離れて付く点で異なります。また、アオスゲ類は葉が黄緑色で細めなのに対し、カンスゲ類は葉の緑色が濃く、葉も幅広の点で異なります。

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カンスゲ類の代表でもあるカンスゲ。自宅植栽株です(2月15日撮影)。

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カンスゲの仲間では分布域の広いオクノカンスゲ。自宅植栽株です(2月15日)。

カンスゲの仲間に共通の特徴としては、「寒菅」が示すように冬でも青々と茂る常緑の葉があげられます。ただし、この特徴はカンスゲの仲間特有のものではありません。アオスゲの仲間も冬場に葉が完全に枯れることは無いですし、常緑のスゲ類は数多くあります。ですから、葉の色が濃い緑色だし、常緑だからカンスゲの仲間かなーと思ってはいけません。
また、○○カンスゲと名前につけば、全てカンスゲの仲間と思ってもいけません。コカンスゲ、イワカンスゲ等、「カンスゲ」と名前についても全く別の仲間ということもあります。


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カンスゲに似た常緑の幅広の葉をつけるヒロバスゲ。これはカンスゲとは別のヒエスゲ節という仲間になります。富山県南砺市にて(6月9日)。

カンスゲの仲間と判断する際は、アオスゲとの共通点である3点が特に重要で、さらに常緑のやや硬めの葉をつけるという点を確認すれば、概ね大丈夫だと思います。