春一番に咲くセリの仲間-272.セントウソウ-
西日本の暖地では2月下旬頃から咲き始めるようで、うちの近所では3月下旬頃から4月いっぱいは、個体や場所を変えてダラダラと咲いています。花の見られる期間は春開花の植物の中では長いほうだと思いますが、「見たことないな~」という方もいらっしゃると思います。
結構群生していてもこんな状態なので、記憶に残りませんね…。岐阜県関市にて。
花が地味で印象に残らないというのもありますが、谷沿いの湿った場所や、藪などの日陰に多いので、なかなかそのような場所に近づかないといった理由もあるかもしれません。
セントウソウはセリ科セントウソウ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州の低地から山地に分布します。やや湿り気のある場所を好み、日陰~半日陰の林縁や林内に生育します。日本では広範囲に見られる普通の植物ですが、実は日本固有の植物です。しかも1属1種ということで、属レベルで日本固有のようです!外国人のお友達に紹介したら、きっと喜ばれると思います。
ちなみに、セントウソウの名前を初めて聞いた時、「戦闘草?」なんと物騒な名前なんだ…と思いましたが、漢字で書くと、「仙洞草」のようです(ネット見たところ)。名前の由来はよくわかっていないようですが、少なくとも物騒な名前ではないようなので、外国人の方に、battle herb、fighting herbといった直訳的な説明はしないほうがよいですね。
セントウソウの特徴は次の3点です。
①大きさ:観察する時期によって違いますが、大きくなっても膝丈未満です。春先なんかだと10㎝程度と小型の植物です。
②葉の形:人参(人参もセリ科の植物です)の葉に似ています。葉は根生(こんせい:地際に着く)もしくは互生(ごせい:葉が交互に着く)し、形状は2~3回羽状複葉で、殆ど無毛。
③花:花は白色で2‐4月の春先に開花します。花は直径3㎜程度の小さなものが多数集まって直径1㎝程度の花序(小散形花序)をつくり、その花序が3~6個程度の不同長の枝先につき、全体として複散形花序(解説はこちら)をつくります。