身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

黒部渓谷〔欅平~祖母谷温泉〕(富山県黒部市)

欅平駅を降りると、眼前に雄大な景色がひろがります。個人的には駅前のビジターゼンター等が並ぶ広場から見える針葉樹林が最高です。

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欅平駅から見える針葉樹林。駅名は欅となっているがケヤキは見なかったな・・・。

前編で紹介したように、冷温帯に生育するキタゴヨウとクロベ、暖温帯に生育するツガからなる針葉樹林です。多くはないですが、よく見るとスギもまじっています。この急斜面だから天然スギだと思うのですが、どうでしょう。

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ビジターゼンターにこの針葉樹林についての解説がありました。黒部峡谷の深いV字谷の左岸側には3000m級の立山連峰がそびえています。立山連峰日本海側からの冬の季節風をさえぎり、谷が深く狭いため風が吹き抜けることもなく、冬場も比較的穏やかな気候となっていることが、温暖性のツガが生育できる要因と説明されていました。この深いV字谷、立山連峰の配置、冬場の季節風の向き、どれか一つでも違っていたら、この不思議な樹林は成立しなかったのかもしれないのですね。自然の神秘です。

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濃い黄緑色がヒメヤシャブシ。見慣れれば双眼鏡を使わなくて色合いでわかる。

欅平駅から祖母谷温泉へ向けて数分歩くと、ほぼ垂直とも言えるような岩壁があらわれます。一枚岩というわけではないため、低木林が成立しています。一見すると生育に不適当な環境のようですが、このような急傾斜地に特徴的に出現する植物があります。そんな植物の一つがヒメヤシャブシです。日本海側の多雪地の急斜面で多く見られ、覚えておきたい植物の一つです。

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猫の額のような場所に旅館がたっています。遠目に見るとちょっとスリリング!

15分くらい歩いて到着するのが秘湯名剣温泉。神秘の針葉樹林を眺めて風呂に入れるなんて最高ですね。それにしてもすごいところから温泉が出たものです・・・。

名剣温泉から祖母谷温泉までは40分前後。林道沿いに現れる植物を観察していると、あっという間に着いてしまいます(実際は植物観察しながら歩くと結構時間がかかり、コースタイムの倍かかることも)。

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ダイモンジソウ。谷沿いの岩場に生育。ちょうど見ごろを迎えていました。

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ヤクシソウ。黄色が鮮やか。これは岩場や林縁などで見られます。

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ゴマナ。1輪は1cm程度と小さな菊ですが、花が多数つくので見ごたえがあります。

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人の背丈ほどの大きなアザミ。アザミの仲間は難しいですが、ナンブアザミと判断。間違えていたらすみません。

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祖母谷温泉に到着~。秘湯の雰囲気が半端ないです。背後はブナ林です。もう少ししたら紅葉がきれいですネ

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祖母谷にかかる橋から下流側に見える斜面。すごい立派な針葉樹林です。

祖母谷温泉の奥には名剣山に続く尾根が見え、険しい斜面に広がる針葉樹林がきれいに見えます。地形図を見ると、写真の尾根の標高は1500m前後だと思います。さすがにツガは気候的に生育が厳しいようで、クロベやキタゴヨウが主体の樹林のように見えます。

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この道を川沿いに進んでいくと温泉があるみたい。登山道や橋からは温泉が見えない。

祖母谷温泉から川伝いに歩いていくと露天風呂があるようです。どんな状態の風呂かわかりませんが、熊やサルと一緒に入れそうな雰囲気です。川の水がすごくきれいな水色をしていましたが、硫黄が溶けているんでしょうか。周囲に硫黄の匂いがただよっています。

今回は風呂に入る時間はありませんでしたが、いつかこの温泉に泊まって雄大な景色を眺めながら露天風呂に入ってみたいな~