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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

覚えておきたい常緑低木-235.ヒサカキ-

桜より少し前から咲き出すのがこのヒサカキ。今頃もまだ咲いていると思いますが、今年は季節の進みが早いので、もう花も終わりかけかもしれません。

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岐阜県関市にて(3月24日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

ヒサカキの花は直径5mmぐらいと小さいので、この花に気づいて足を止める人は少ないかもしれません。でも非常に強い香りを放ち、その香りはガスの匂いに似ていると言われています。建物の近くでヒサカキの花の匂いをガス漏れと間違えたというような話が、ブログにも紹介されており、香りの実力がうかがえます。春先の山の中を歩いていて「何かガスのような異臭がするな」と感じたら、きっとヒサカキの花が近くにあると思いますので、足を止めて探してみて下さい。

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この木は3mぐらいの大きさ。このぐらいの大きさになれば花や実をたくさんつけます。

ヒサカキはサカキ科ヒサカキ属の常緑低木(じょうりょくていぼく:冬にも葉がついている、4m程度以下の木本)で、本州(岩手・秋田以南)・四国・九州・琉球に分布します。たいていは5m以下の低木ですが、時々8mぐらいの大きさになるものもあり、図鑑によっては小高木に分類されます。やや乾燥気味の樹林に多く、特に暖地では落葉広葉樹林から植林地まで、様々な樹林内でよく見かけます。

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ヒサカキの生育状況。冬枯れの落葉広葉樹林の低木層で青々している木がヒサカキです。

ヒサカキの葉を見て、「これは神社や神棚に奉納するサカキじゃない?」と思った方は、神社によくお参りに行く信心深い方でしょうね。そのとおりですヒサカキは「榊」として神社や神棚に飾られる植物です。でも本当のサカキはヒサカキとは別な植物で、西日本では比較的よく目にしますが、東日本で目にすることは殆どありません。西日本の神社では「榊」に本来のサカキを使用するところもあるようですが、東日本で「榊」と言えばヒサカキを普通指しますね。「榊」にヒサカキが代用されるのは、東日本にサカキが殆ど分布しない点と、簡単に入手できることが関係しているのかもしれません。

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これが本当のサカキ。サカキはヒサカキよりも葉が大きく鋸歯がありません。

ヒサカキの特徴は次の3点です。
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①樹皮と枝:樹皮の色は褐色で点々(皮目:ひもくと呼びます)がまばらにあります。若い枝は緑色(2年くらいは緑色)で殆ど無毛です。
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②葉:互生し、長さは3-7cmで、楕円形、鋸歯があります。葉の表面は光沢があり、中脈はくぼみます。一番の特徴は葉の先端で、先端部分がくぼみます。学生の頃はヒサカキはお尻」と覚えました。
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③花:雌雄異株で雄花をつける株と雌花をつける株があります。でも両性花をつける株もあるようで雌雄の分化の程度は低いと言われています。花は直径5mm以下で、花弁はクリーム色(時々紫色を帯びる時もある)。


ヒサカキ属にはヒサカキ以外に数種あり、九州南部や琉球では分類が難しいものもあります。本州や四国では同じ属で迷うものは少ないですが、ハイノキ科のクロバイ、バラ科のリンボク、ツバキ科のサザンカ等、同じくらいのサイズの葉の常緑樹との見極めが慣れないと難しいかもしれません。「ヒサカキはお尻」だけ覚えておけば、花が無くても、類似の常緑樹と区別できると思います。