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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

簡単に見分けられるシダ-232.クマワラビ-

「クマワラビが簡単に見分けられるシダなのか!」と問われると、厳密に言えば簡単ではないのかもしれません。

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愛知県設楽町にて(5月17日)。今の時期(冬場)だと、かなりボロボロだと思います。

というのは、この仲間は雑種をつくることが多く、クマワラビと○○の雑種というのが、結構あるからです。そのような雑種は、正直、私もよくわからないところで、そういった雑種もちゃんと区別するとなると、それなりの目が必要になってくると思います(目下修行中)。でも、最初のうちは、そのような雑種もクマワラビに近ければ、「クマワラビ」としてよいと思います。クマワラビ自体は、この仲間では覚えやすい方なので、雑種やその他の種を識別するためにも、このシダは何回も見て覚えておいたほうがよいと思います。

クマワラビはオシダ科オシダ属の常緑の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)ですが、冬場は葉の先端が枯れてしまっていることが多いです。北海道の奥尻島と、本州・四国・九州に分布し、樹林地や林縁に生育します。冷温帯では少なく、暖地に多い傾向があります。

クマワラビの特徴は次の4点です。
①生え方:1箇所から四方八方に複数枚の葉を広げます。ですから根茎(こんけい:地中にある茎)は直立で、横に長く這うことはありません。
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鱗片(りんぺん):葉柄の基部にあるかつおぶしみたいなものを鱗片と言います。鱗片は明るい褐色で幅広く、密生します。この密生した鱗片の様子を毛深いクマに見立てて、クマワラビとなったようですが、クマにしては鱗片の色が明るすぎますね。
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③葉
の形:葉の大きさは葉柄部分をのぞいて40-50cm。葉の切れ込み方は2回羽状深裂。葉脈が表面でくぼむ感じになります。小羽片の先端はとがり気味です。
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④胞子嚢:胞子嚢は円形で、葉の先端部分(10-15cmくらい)のみに着きます。この着き方が大きな特徴です。胞子嚢のついた葉の部分はやや萎縮していて、早く枯れてしまいます(そのため冬場は先端が枯れている)。


オシダ属は種数が多く、似た種類もたくさんありますが、よく見る似たものとしてはオクマワラビがあげられます。オクマワラビは胞子嚢が上半分ぐらいまでに着き、葉が萎縮しないところが大きく異なります。私は奥まで胞子が着くからオクマワラビと語呂あわせで最初の頃は覚えていました。また、オクマワラビの鱗片はより黒っぽい褐色で、どちらかといえば、オクマワラビの方がクマの毛の色に近いと思います。