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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

トゲのある植物-230.ハマナス-

トゲのある植物の代表格であるバラの仲間から、もう1種、ハマナスを紹介します。

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青森県八戸市にて(6月7日)。花だけの写真を見ると園芸種みたいにきれい。

ハマナスはその名の通り浜辺の砂地に生育し、特に寒冷地の海岸付近に多いです。北海道の各地の原生花園に行くと、群生している様子が見られます。濃いピンク色の大輪の花をつけるため、群生していると「園芸種を植えたのか?」と思うほどです。残念ながら、カメラを新しくしてからは、花の時期に訪れたことがないので、これぞハマナス群落という美しい写真を撮りにいきたいものです。

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ハマナスの群落。花が無いのが残念。北海道猿払村にて(8月26日)。

ハマナスバラ科バラ属の落葉低木(らくようていぼく:冬に葉を落とす、4m程度以下の木本)で、北海道、本州(太平洋側は千葉県、日本海側は島根県まで)に分布しています。

ところで、ハマナスバラ科なのに何で「ナス」とつくのでしょうか?
ハマナスにはハマナシという別名があります。ナシはバラ科の食用とする梨のことです。ハマナスの実が梨に似ていて、「浜辺にはえる梨」とうことでハマナシと呼ばれるようになりました。そしてそれが訛ってハマナスになったということのようです。ナスは全く関係なく、訛り言葉が標準的な和名になってしまったというのは面白い話ですね。
なみに、果実が梨に似ているという点ですが、私はあまり似ていないと思っています。多分、多くの人が梨とは思わないでしょうねー。私は食べたことはないですが、果実は食用となるようで、ハーブ・ティーとしても使用されます。

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ハマナスの実。梨というより逆さに着いたトマト。北海道猿払村にて(8月26日)。

ハマナスの特徴は次の3点です。
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①茎:茎はつる状には伸びず、膝丈ぐらいの低木になります。茎に細いトゲが多数あり、トゲや茎に毛がはえています。トゲに毛がはえているのが面白い。
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②葉:葉は互生し、一回羽状複葉(いっかいうじょうふくよう:葉の軸が伸びて小葉が3枚以上付き、葉の軸は分枝しない)で小葉は9枚程度。葉の表面はしわが多く、光沢があります。裏面や軸には毛が密生します。
③花:花は枝先に1-3個つきます。濃いピンク色の直径6cm程度の大輪の花をつけます。


海岸沿いに生育する大輪のピンクのバラというだけで本種とわかります。葉や茎も特徴的で似た植物は基本的にありません。高山や寒冷な山地に生育するカラフトイバラ、オオタカネバラ、タカネバラハマナスに似た大きめピンクの花をつけますが、生育環境も違いますし、茎のトゲも異なるので、間違えることはないです。

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オオタカネバラ。花は似てるけど生育環境は山地~高山。北海道豊富町にて(6月16日)。