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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

2017年の出会いベスト5-219.タテヤマリンドウ-

今年は日本百名山2つも登れたので、高山植物との出会いが印象深いです。山屋さんから見れば、「たった2つ~」ですが、私は山屋さんではないので、それほど頻繁に山に登りに行くことはありません。ですから、2山制覇しただけでも、個人的には大満足でした。
そんな百名山の一つ、立山で出会ったタテヤマリンドウが今年の出会い第5位です。

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富山県立山町にて(8月30日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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この日見た個体は全てこの花の色でした。殆ど白色といってよいです。

今まで多分見たことがないと思います。見たことがあるのかもしれませんが、ちゃんと調べたことがなかったので、初見と言ってよいと思います。山で見た瞬間、かなり弱々しい、小さなリンドウだなーと思いました。これはヒナリンドウか?
しかし、帰ってよく調べてみるとヒナリンドウは八ヶ岳にしか分布しないことがわかりました。さらに調べてみると、タテヤマリンドウだろうということがわかってきました。ただ、改訂新版日本の野生植物(平凡社高山に咲く花(山と渓谷社に掲載している写真と印象が異なるのが気になりました。これらの図鑑に掲載されている写真は、私が見たものよりごっつい感じで、花の色も紫色が強く、なんとなくハルリンドウに似ていました。「どういうことなんだろう?」と思っていたら、タテヤマリンドウハルリンドウの変種ということになっていました(似ていて当然)。一方で別種とする説もあるようで、私が見た個体は、ちっともハルリンドウに似ていなかったので、別種にしたくなるタイプなのかもしれません。タテヤマリンドウは北海道、本州中部以北の広域に分布する種なので、個体の変異の幅が大きいのかもしれません。他の山でもまた見てみたいです。

タテヤマリンドウはリンドウ科リンドウ属の越年草(えつねんそう:秋に発芽して冬越し、翌春に開花・結実して枯死する)で、高山帯から亜高山帯の湿原に生育します。

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タテヤマリンドウの生育していた環境。イワイチョウチングルマが生育する雪田です。

タテヤマリンドウの特徴は次の3点です。
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①全体の容姿:1本立ちで草丈は20cm未満。今回は確認していませんが、基部で分枝するものもあるかもしれません。
②葉:ロゼット状の根出葉があり、大きさは1cm未満。ロゼット状の葉は茎葉より丸っこく、大きさも大きい。茎葉は対生し、披針形(ひしんけい:かなり細長い卵型)。
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③花:花の色は白色~薄い紫色。明瞭な柄があり、花の長さが萼の長さの2倍以上。


高山帯で比較的目にする小型のリンドウの仲間としてはミヤマリンドウがあげられます。ミヤマリンドウは多年草なので、時に株状になり、花の色は青紫色です。花が咲いていれば、タテヤマリンドウと間違えることはないと思います。

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ミヤマリンドウ。同じく富山県立山町にて(8月29日)。