晩秋が食べごろのイチゴ-218.フユイチゴ-
動物達にとってはだんだん食べ物が少なくなってくる晩秋。そんな時期に最後のご馳走(私が動物なら食べまくりますね)といえるのがフユイチゴの実ではないでしょうか。
岐阜県関市にて(11月28日)。動物目線だとこんな感じ?以下、撮影日&撮影場所同じです。
うちの近所では11月下旬から12月いっぱいは多くの実をつけており、今が食べごろです。フユイチゴはキイチゴ(ノイチゴ)の仲間ですが、一般的にイメージされるキイチゴとは少し異なります。キイチゴというと小低木を思い浮かべることが多いと思いますが、フユイチゴは地面を這うつる植物です。また、キイチゴの多くが初夏~夏に実をつけますが、フユイチゴは名前のとおり冬にイチゴがなります。
直径は1cmぐらいと小さめ。その割には個々の粒が大きいのが特徴。
粒が大きめのため中の種が大きく、食感はいまいちですが、個人的にはおいしいと思います。うちの子供は、小さい頃山に行くと結構食べていました。
野外で見ると結構きれいでだけど、狭い庭ではこうもいかない。
家をたてたばかりの時に殺風景な庭を早く緑化したくて、「成長が早そうで実のなる植物」という選定基準でフユイチゴを近所の山から数本とってきて植えてみました。すぐに根付いて増えたのですが、直射がきつかったり、葉がまばらだったりで、あまりきれいではありません。野外で見るといい感じなのですが・・・。庭には向かないと思って除去しようとしたものの、地下茎がいろんなところに伸びていて、完全には除去できない状態です。野外での緑化にはよいかもしれませんが、狭い庭には植えないほうがよいですネ。
フユイチゴはバラ科キイチゴ属の常緑つる植物で、本州~琉球に分布します。つる植物ですが、藤のように木に登ることはなく、地面を這います。図鑑によってはつる状小低木と記載されているので、厳密に言えば草ではなくて木の仲間です。常緑樹のまじる低山の樹林地や林縁に生育します。
フユイチゴの特徴は次の3点です。
①茎:茎は地面を這い、群生することが多いです。茎にはまばらに細いトゲがあり、開出から下向きのトゲよりも短い淡褐色の毛を密生します。
②葉:葉は互生し、ほぼ円形から五角形状、縁には細かい鋸歯があります。葉の先端はそれほどとがりません。葉裏には淡褐色の毛を密生します。
③花と実:花は白色で9-10月に咲きます(花の写真が無かった)。実は冬(11-1月)になります。
よく見る似たような植物にはミヤマフユイチゴがあげられます。ミヤマフユイチゴは葉の先がとがり、葉や茎の毛が少ないことで見分けられます。ミヤマフユイチゴとフユイチゴは花や実の時期が同じで、同所的に生育することもあり、雑種ができることもあるようです。雑種はアイノコフユイチゴと呼ばれます。ミヤマフユイチゴかフユイチゴか、どちらか迷うような個体はひょっとしたら雑種なのかもしれません。