秋といえばタデの仲間-211.ハナタデ-
仕事が忙しく、いつの間にか秋になってしまった感じです。秋の植物相調査(ある範囲に生育する植物種をリストアップする調査)のメインといえば、タデの仲間があげられます。今回はハナタデを紹介します。
ハナタデと名前がつくのですが、この仲間で特に花が目立つわけではありません。たまにある名前と容姿の一致しない植物の一つです。それとも命名者が、よっぽど、渋い感覚をお持ちだったのかもしれません。草丈は膝丈以下で、ややまばらに花をつけます。花の付き方や色には変化があり、ピンク色が濃く、やや花を密生するタイプもあります。
花が密生するタイプをハナタデ、花がまばらにつくタイプをナガボハナタデと分ける場合もありますが、どちらにするか迷ってしまう中間的なタイプもあります。
ハナタデはタデ科イヌタデ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)で、日本全国に分布します。湿った半日陰の林縁や草地に生育し、よく樹林内を通る林道沿いなどで見かけます。
ハナタデの特徴は次の4点です。
①個体サイズ:通常膝丈以下です。
②葉:ひし形に近い楕円形で、葉の中央部がその他のイヌタデ属に比べると幅広くなります。
③托葉鞘(たくようしょう):葉の付け根にある筒状のものが托葉鞘と呼ばれるものです(写真参照)。この托葉鞘の縁に長い毛(鞘と同じ程度の長さ)があるのが特徴です。
④花:花は1-数個が集団となり、その集団が離れてつきます。そのため、花がイヌタデに比べるとまばらにつく感じになります。密集するタイプの場合でも、下の方の集団は互いに離れる傾向にあります。