平地の秋の花-81.オオクサキビ-
河原でイヌタデ属の植物と一緒に生育しているイネ科の植物がいくつかあります。そんなイネ科植物の一つが、このオオクサキビです。
オオクサキビは北米原産の外来種で、イネ科キビ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)です。既に日本全土に分布し、河川敷の水辺で在来種のような顔をして生育しています。
オオクサキビはオオイヌタデと生育環境がほぼ同じで、中下流域の河川敷の水際や湿地に生育します。裸地的な環境を好むため、湿っていれば造成地にも生育し、特に河川工事終了後の裸地では群生することが多いです。こんな繁殖力旺盛なオオクサキビですが、人為的な湿地環境である水田周辺ではあまり目にしないところが面白いところです。
オオクサキビの特徴は次の3点です。
①茎と葉:茎や葉は無毛で、葉は長めで中央の白い線が目立ちます。葉舌(ようぜつ:葉の付け根の部分の透明な膜や毛のこと)は2mmぐらいで毛の列となります。
②花序:花序(かじょ:小穂の集合)は20~30cm程度で、枝を主軸に対して斜めに多く出します。
③小穂:小穂(しょうすい:イネ科の花の集まり。写真参照。)は一つの花からなり、先はとがります。小穂は枝に接するように付きます。
イヌタデ属にも当てはまりますが、水辺に生育する一年生草本は個体変異の幅がとても大きいです。オオクサキビもそうで、茎の節から根を出して1m程度にも伸びる個体があれば、30cm程度でおとなしく生育する個体もあります。
こちらは50cm程度の個体。標準より少し小さめでしょうか。神奈川県川崎市(10月17日)。
見た目では全く違う植物のようですが、花序や穂を見れば同じ植物ということがわかります。このような個体変異の幅に慣れるには、とにかく多くの個体を見ることに尽きます。私も日々鍛錬です。