身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

標本の同定作業

11月中旬に最後の現場が終わり、下旬の昨日、たまっていた標本の同定作業が全て終了しました。12月まで持ち越さなかったので、正直ホッとしています。

この期間、ずーっと標本同定作業をしていたわけではないですが、標本の同定には時間がかかります。調査員かけだしの頃は、今以上に大漁の標本を採集していたので、もっと時間がかかっていましたね~。当時の量が、今部屋にあったら・・・と思うとゾッとします。調査員としてはだいぶ年数が経ったので、最近は採集する標本も少なくなってはきましたが、それなりに時間はかかります。

「標本が少ないなら時間かからないんじゃん?」と思う方もいらっしゃいますが、最近は少数精鋭というか、1点あたりの同定に時間がかかるものが多いです。これは、新しい図鑑や論文等で知見が増えた点、ネット環境の充実に加え、自分の目も肥えてきたことによります。

例えば、スゲの仲間は、私が駆け出しの頃の約20年前には、図鑑もあまりなかったためオオイトスゲはオオイトスゲとしか同定できませんでした(今考えると、昔は楽だったな~)。もちろんこの頃にも特殊なスゲの図鑑はありましたが、一般的に手に入れるのは難しく、ネット環境もないので、書籍の存在すら知るのが難しかったと思います。それが、今では詳しい図鑑が増え、オオイトスゲの仲間は、チャイトスゲ、キイトスゲ等、詳しく調べることができるようになりました。

このような情報の充実により、自分の知識も少しづつ増えるため、採集する標本がなくなる(野外の現地調査で全てわかってしまう)ということは、まずないです。「この植物と、この植物違うんだ~!」というのが分かると、本当に面白いんですよね~。(でも、あまり細かく分類されると、困ってしまいますが・・・(笑)。)

こんな感じで、植物の調査では室内での同定作業が不可欠なのですが、業界の中でも「植物調査に室内同定作業がある」ということをご存知ない方もいらっしゃいます。そのため、ごくまれに同定作業の費用をみてもらえない時があります。同定作業にかかる時間は、経験年数によっても異なるので、費やした時間で費用を見積もるのは問題もありますが、精度確保のためにも、多少なりとも同定費用は捻出していただきたいものです。そうすれば、若い調査員さんもやりやすい環境になると思うんですよね~。
幸い、今おつきあいのある会社は、植物調査に理解のある会社なので、同定作業で困ったことは殆どありません。ありがたい限りです。