覚えておきたい落葉高木-117.ブナ-
木の写真撮るのって難しいですね。特に高木は大きすぎてなかなかうまく撮れないし、花も遠いし…。うまく撮影はできなかったのですが、昨年、意識して撮影した高木を少し紹介したいと思います。まずは、ブナです。
林内の低木の葉は光沢があまりない。北海道島牧村にて(7月24日)。
どの木がブナかは知らなくても、ブナという木の名前は多くの方がご存知だと思います。世界遺産の白神山地のブナ林なんかは、特に有名ですね。ブナは日本の冷温帯(れいおんたい:東北地方や中部地方を主体とした涼しい地域。私の住む岐阜あたりだと標高700~1600mくらいの地域)を代表する植物なので、是非覚えておきたい植物です。
正面の白い幹の木がブナ。まわりも殆どブナ。北海道今金町にて(7月24日)。
真っ直ぐに伸びる美しい樹形です。神奈川県清川村にて(8月5日)。
ブナはとにかく真っ直ぐ伸び、樹高は20m以上にもなる巨木になります(場所によっては低木状にもなりますが、一般的な印象では巨木)。東北地方や北陸地方など雪の多い地方では、純林(じゅんりん:単一の種類が優占するような森林)をつくります。
ブナはブナ科ブナ属の落葉高木(らくようこうぼく:冬に葉が落ちる木。高さの決まりはないですが、10m以上はあります)で、北海道(黒松内以南)・本州・四国・九州に分布します。落葉広葉樹林の代表種なので、1000m前後の冷温帯域であれば、樹林地の多くの場所で見ることができます。
ブナの特徴は次の4点です。
①樹皮:灰白色でつるんとしています。多雪地では地衣類が幹につくので、不規則なまだら模様になります。遠目にみても、この色合いは特徴的だと思います。
②葉の形:葉は互生対生します。卵型の葉です。遠目に見ると鋸歯はないようですが、よく見ると目立たない鋸歯があります。
③葉脈と毛:定規でひいたような真っ直ぐな明瞭な脈が目立ちます。若いうちは葉柄や葉の両面に毛がありますが、夏頃になると無毛になります。
④実:どんぐりをつける木の仲間ですが、実の形は全く異なります。写真のようなトゲトゲした感じの実がなります。ブナは豊作年と不作年があり、豊作年は7年に1回と言われています。
子供が描きそうな「はっぱ」らしい葉が特徴です。似た植物はイヌブナぐらいだと思います。あとカバノキ科の植物も少し似ていますが、カバノキ科の仲間は明瞭な鋸歯があるので、慣れれば間違うことはありません。