身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

山梨県富士河口湖町 青木ヶ原樹海

富士山初冠雪のニュースが流れた日、精進湖周辺は冷たい雨が降り、富士山は眺めることが出来ませんでした。翌日は雲ひとつない秋空で、雪化粧をまとった富士山が出迎えてくれました。

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精進湖からの富士山(10月12日)

精進湖は富士山麓にある富士五湖の一つで、観光地として有名です。祝日のこの日、湖はカヌーをする人や釣り人などで賑わい、多くの方が楽しいひと時を過ごしているようでした。ところで、こんな観光地のすぐ近くに、少しこわ~い森があるのをご存知でしょうか。その森の名前は青木ヶ原樹海です。
青木ヶ原樹海は奥に入ると、道に迷ってしまい、出られなくなる」と子供の頃から噂で聞いていました。真意の程はよくわかりませんが、広い平坦地に似たような樹林が広がるので、GPS等がなければ、確かに出られないかもしれません。ただ、東海自然遊歩道などが整備されているので、道を歩く限りは迷うことはなさそうです。

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少しかすんでいますが、正面の平坦地の樹林が青木ヶ原樹海(10月12日)

道路からすぐ近くの森に入ってみました。外は快晴でしたが、中はやや薄暗い感じです。それもそのはずで、高木層にはツガ、ヒノキ、ウラジロモミ、アカマツといった針葉樹が多く、亜高木層以下にもソヨゴ、アセビといった常緑樹が優占します。常緑の木々が多い分、日があまり差し込まないようです。

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常緑針葉樹が優占する樹林(10月12日)

足元に目をやると、岩がゴロゴロし、大小の穴があります。岩は黒く、軽石のように細かな穴があいていることから、溶岩であることがわかります。富士山からここまで溶岩が流れてきたんですね。溶岩の上には薄く土がのっかっている部分と、殆ど土がのっていない場所もあります。こんな土壌の不均一さからも、この場所に植物がはえて比較的新しいのかもしれないと推測することができます。

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年月が経過して樹林になっていますが、樹林の下は溶岩であることがわかります。

木ヶ原樹海のツガやヒノキからなる森は、シノブカグマ-ヒノキ群集と呼ばれる常緑針葉樹の自然林です。常緑針葉樹の自然林というと、亜高山帯のシラビソ、オオシラビソからなる森を想像する方が多いと思いますが、シノブカグマ-ヒノキ群集は標高がやや低い(1000m前後か)、山地帯に分布します。このような常緑針葉樹林(類似の針葉樹林も含みます)は、私が住む岐阜県にも見られますが、たいてい、とても急傾斜地に存在し、容易に人が近づくことが出来ません。その点、青木ヶ原樹海では、このような常緑針葉樹林が遊歩道脇からも観察できるので、とてもお薦めです。命がけで奥に行かなくても大丈夫です。

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遊歩道近くのシノブカグマ-ヒノキ群集の樹林。立派なヒノキです。(6月25日)

山地帯の常緑針葉樹林がこれだけの広さで殆ど手つかずに残っているのは、日本中探して藻そうはないはずです。このまま大切に残していってほしいと思いました。